2021-2022年度 国際共同研究
「コロナ危機とポストコロナの経済社会に関する研究」

内閣府経済社会総合研究所


1.研究概要

コロナ危機とポストコロナの経済社会に関し、世界の大学・シンクタンク等の幅広い研究者の英知を結集した共同研究プロジェクトを実施しています。国際比較や個票データ等に基づく精緻なエビデンスの蓄積を図り、将来の類似危機に対する経済社会面での知的備えを強化します。同時に、ポストコロナに向けて全世界的に変貌を遂げる経済社会を展望し、課題となる政策の方向性を探ります。二つのテーマ「コロナショックから何を学ぶか?」「ポストコロナで経済社会はどう変わるのか?」を設定し、2年計画で実施しています。

「コロナショックから何を学ぶか?:ワークショップ等を通じたエビデンスの蓄積」

日本及び主要国における状況や対策の特徴を包括的に分析するとともに、個票データやビッグデータを幅広く活用して、コロナショック及びその後の回復過程における政策対応の効果や課題を研究します。また、人々や企業の行動変容が経済社会システムに及ぼしつつある変化を研究します。既に世界各国で行われている実証研究を現時点で幅広く収集・整理するとともに、一歩進めた独自の研究を実施します。2021年度は研究成果をワークショップを通じて共有し、それらを踏まえたサーベイや国際比較調査等を実施しました。2022年度は学術的成果を持ち寄った国際コンファレンスの開催や独自の研究を推進しています。これらを通じ、質の高いエビデンスの蓄積を目標としています。

主査: 山本 勲 慶應義塾大学教授

「ポストコロナで経済社会はどう変わるのか?:国際ラウンドテーブルの開催」

ポストコロナの経済社会の展望と政策の方向性について、日本及び米国の研究者を集めた国際ラウンドテーブルを開催します。 2021年度では、ESRIコンファレンスの特別セッションとして開催し、パンデミックが日本、米国及び他の先進国の経済・社会にもたらした変化を踏まえ、ポストコロナの経済・社会の重要政策課題について、論点・研究課題の集約・整理を行いました。2022年度では、その論点に対する研究成果・対応策として、「政府への信頼と情報提供」「雇用ショックへの対応」「パンデミックによる国際経済への影響」の3つのテーマで幅広に議論を交わしました。

主査: 星 岳雄 東京大学教授

ポストコロナの経済・社会に関する国際ラウンドテーブル(第1回)

開催日時:
2021年12月17日(金)
開催方法:
オンライン(Zoomウェビナー)

ポストコロナの経済・社会に関する国際ラウンドテーブル(第2回)

開催日時:
2022年12月14日(水)
開催方法:
ハイブリッド形式

2.「コロナショックから何を学ぶか?:ワークショップ等を通じたエビデンスの蓄積」

2021年度はコロナショックに関する諸問題について、ワークショップ(WS)を通じて3つの視点から議論を行います。WS1では、「雇用・家計・消費に与えた影響・対策」、WS2では、「企業に与えた影響・対策」、WS3では、「人々や企業の行動変容が経済社会システムに及ぼしつつある変化に関するエビデンス( デジタル化の進展、働き方の変化等)」について各2回ずつ研究報告を行いました。これらのワークショップの報告内容を参考にしつつ、各モデレーターがテーマに関わる研究のサーベイ論文を執筆しました。サーベイ論文は経済分析に掲載されています。またサーベイ論文の公表に際してはESRI経済政策フォーラムを開催しました。2022年度は国際コンファレンスを通じて、「在宅勤務」「金融システムにおけるリスク」「パンデミック後の財政政策」「生産性」の4つのテーマで、学術的な議論を交わしました。さらに独自研究を推進し、随時論文等を公表しています。

2021年度

WS1:雇用・家計・消費に与えた影響・対策

サーベイ論文:
経済分析第204号 新型コロナパンデミックと日本の家計行動―就業・消費・家庭(PDF形式:801KB)PDFを別ウィンドウで開きます
照山 博司 京都大学教授
木村 匡子 関西大学准教授

モデレーター: 照山 博司 京都大学教授

第一回(2021年10月18日開催)
非伝統的データで探るコロナ経済危機の真因
渡辺 努(東京大学教授)
Fear of COVID-19 Contagion: The Idiosyncratic Effects of an Aggregate Pandemic Shock
中園 善行(内閣府経済社会総合研究所主任研究官)
コロナ禍の在宅勤務による生活時間の変化―「新しい日常生活」
高見 具広(労働政策研究・研修機構副主任研究員)
第二回(2021年10月25日開催)
COVID-19 and the Employment Gender Gap
山口 慎太郎(東京大学教授)
Telework in the spread of COVID-19
大久保 敏弘(慶應義塾大学教授)
COVID-19による労働市場への影響
深井 太洋(内閣府経済社会総合研究所研究官)
アフターコロナのレジリエンス格差とウェルビーイング格差
石井 加代子(慶應義塾大学特任准教授)

WS2:企業に与えた影響・対策

サーベイ論文:
経済分析第204号 コロナ危機が企業に与えた影響・対策について(PDF形式:1.44MB)PDFを別ウィンドウで開きます
滝澤 美帆 学習院大学教授

モデレーター: 滝澤 美帆 学習院大学教授

第一回(2021年10月29日開催)
新型コロナウイルス感染症により企業が受けたショック・とった対応・利用した支援措置
植杉 威一郎(一橋大学教授)
コロナ禍の企業ダイナミクス:大規模パネルデータに基づく検討
宮川 大介(一橋大学准教授)
第二回(2021年11月12日開催)
マネジメント、テレワーク、テクノロジー MOPS2021の結果から
神林 龍(一橋大学教授)
新型コロナウイルス感染症が宿泊業に与えた影響に関する研究
栗原 剛(東洋大学准教授)
山地 秀幸(内閣府経済社会総合研究所研究官)

WS3:人々や企業の行動変容が経済社会システムに及ぼしつつある変化に関するエビデンス(デジタル化の進展、働き方の変化等)

サーベイ論文:
経済分析第204号 パンデミックによる行動変容:研究展望(PDF形式:660KB)PDFを別ウィンドウで開きます
小塩 隆士 一橋大学教授

モデレーター: 小塩 隆士 一橋大学教授

第一回(2021年9月29日開催)
コロナ禍におけるアルコール購買行動の変化
中村 良太(一橋大学准教授)
東京都の病院データを用いたコロナ禍の医療提供体制の分析
高久 玲音(一橋大学准教授)
財政赤字の政治経済学再考:コロナ後の財政を見据えて
佐藤 主光(一橋大学教授)
第二回(2021年11月30日開催)
COVID-19のパラドックス:患者の受療行動への影響
井伊 雅子(一橋大学教授)
コロナ禍での診療報酬制度と医療機関への影響 ― 欧米の事例から
本田 文子(一橋大学教授)
満足度・生活の質に関する調査のデータを用いたコロナ禍の生活影響と行動変容に関する分析
小塩 隆士(一橋大学教授)

2021年度国際共同研究の取組の一部を『Economic & Social Research(ESR)』で紹介しています。

Economic & Social Research No.36 2022年春号 コロナショックから何を学ぶのか(PDF形式 1.35 MB)PDFを別ウィンドウで開きます

2022年度

ESRI国際コンファレンス2022「ポストコロナの経済社会」

開催日時:
2022年12月15日(木)
開催方法:
ハイブリッド形式

内閣府経済社会総合研究所『経済分析』第 206 号

ESRI国際コンファレンス2022「ポストコロナの経済社会」(概要)(PDF形式:733KB)PDFを別ウィンドウで開きます

研究所内における研究成果:

WP64 新型コロナウイルス感染症が宿泊業に与えた影響に関する研究-2020年コロナ禍初期における宿泊需要の落ち込みと回復に着目して-(PDF形式 1.48 MB)PDFを別ウィンドウで開きます

RN75 コロナ禍の生活環境と行動変容に関する調査(2021年11月、2022年11月)の概要(PDF形式:1.32MB)PDFを別ウィンドウで開きます

RN71 コロナ禍の生活環境と行動変容に関する追加調査―結果報告(PDF形式 1.02 MB)PDFを別ウィンドウで開きます