平成12年度民間非営利団体実態調査結果について

平成13年12月25日
内閣府 経済社会総合研究所
国民経済計算部 国民支出課

民間非営利団体実態調査について

  1. 調査の目的

    この調査は、民間で非営利事業を営む事業所の収入、消費支出及び投資支出を調査し、その経済活動を明らかにするとともに、GDPをはじめとする「国民経済計算」(SNA)推計のための基礎資料を得ることを目的として毎年度実施している承認統計調査である。

  2. 調査の対象

     当調査が対象とする「民間非営利団体」とは、SNAにおける民間非営利サービス提供者という概念に合致する団体全てを指し、営利を目的とせず社会的サービスを提供することを目的としている民間団体である。
     
     民間非営利団体は、事業所に対してサービスを提供する対企業民間非営利団体(事業協同組合、経済団体)と家計に対してサービスを提供する対家計民間非営利団体(児童福祉事業、老人福祉事業 他)に分かれ、本調査上では前者の提供するサービスを「対事業所サービス」といい、後者の提供するサービスを「対家計サービス」という。
     
     また、本調査は民間非営利団体の行う事業のうち、収入及び消費支出については営利を目的としていない非営利活動のみを対象とし、設備投資については営利・非営利両方の活動を調査対象としている。

  3. 調査の方法

     事業所の代表者による自計申告方式。民間調査機関に調査事務を委託している。

  4. 利用上の注意

     (1)SNA上は「私立学校」、「政治団体」も民間非営利団体に含まれるが、他の調査がSNA推計に利用できるため、本調査では対象外としている。
     (2)本調査においては、「介護保険事業」(SNA上は「産業」扱い)及び「健康相談施設」(平成12年基準改定でSNA上の扱いが「対家計民間非営利団体」から「産業」に変更)を含めた形で集計を行っている点につき留意されたい。

平成12年度調査の概要

  1. 調査事項

     (1)事業所の組織、事業内容等に関する調査
     (2)平成12年度(平成12年4月1日~平成13年3月31日)の収入及び支出に関する調査

  2. 調査期間

     平成13年7月1日から同年8月31日の期間で実施した。

  3. 標本抽出の方法

     「平成8年事業所・企業統計調査(総務省統計局)」より求めた対象民間非営利団体約170,000事業所を母集団とし、全国より20都道府県を抽出し、その都道府県に所在する民間非営利団体の中から無作為抽出の方法により、所定事業所数(2,100事業所)を抽出した。
     
     SNA上は平成12年度から始まった介護保険サービスは非営利サービスではなく、医療サービス同様「産業」として扱っている。しかしながら、本調査では9年度以降、上述のとおり「平成8年事業所・企業統計調査」に基づいて標本設計を行っているため、調査対象には12年度から介護保険事業を行っている事業所も含まれている。このため、SNA12年度確報における民間非営利サービスの推計では、本調査結果の利用に際して便宜的に、各事業所ごとの非営利事業収入全体に占める介護保険事業収入の割合を用いて、各収支項目に含まれる介護保険事業分を除外する方法を採った。

  4. 平成12年度調査の調査票回収率

     調査票総回答枚数・・・2,047枚(2,047事業所分) 回収率97.5%
     調査票有効回答枚数・・2,019枚(2,019事業所分) 集計採用事業所数割合96.1%
     (注)有効回答枚数:回収した調査票のうち、白紙など記入状況が極端に悪い調査票を除いた枚数。

平成12年度集計結果の概要

※上述(『標本抽出の方法』の項)のとおり、本調査は5年毎の標本変更の年にあたるため、以下の結果概要のうち、特に対前年度増減率の利用にあたっては、十分に留意願いたい。

  1. 収入の状況

     平成12年度の民間非営利団体の収入は、全団体合計では25兆3,966億円で前年度比4.9%減と3年連続での減少となった。
     主な収入項目別にみると、移転的収入(寄付金や会費、補助金等の収入)が20兆9,321億円で前年度比3.6%減、事業収入は3兆9,171億円で同7.0%減となっている。
     これを対家計サービスと対事業サービスの事業形態別にみてみると、対家計サービスの収入は23兆4,080億円で前年度比4.7%減であった。一方、対事業所サービスの収入は1兆9,885億円で同8.0%減であった。

  2. 消費支出の状況

     消費支出は全団体合計では23兆9,183億円で前年度比1.4%減と、3年連続での減少となった。
     主な支出項目別にみると、他団体・個人への給付や負担金、会費などの支出である移転的支出は13兆7,401億円で同3.0%減、仕入原価は8,596億円で同8.7%減となり、引き続き減少した一方、人件費は4兆7,564億円で同3.6%増と増加に転じた。
     事業形態別にみると、対家計サービスの消費支出は21兆8,628億円で前年度比1.0%減であった。一方、対事業所サービスは2兆555億円で同5.4%減であった。

  3. 投資支出の状況

     投資支出は対家計サービスの事業所分のみの調査で、12年度は4,140億円で前年度に比べ 22.0%減となっている。

  4. 収入及び経費の構成

    (1)収入の構成
     民間非営利団体の収入構造を総収入額に対する項目別構成比でみてみると、全団体では移転的収入が 82.4%を占め、次いで事業収入の15.4%となっている。
     これを事業形態別に分けると、その構造には大きな違いがみられる。対家計サービスは移転的収入85.4%、事業収入12.4%となっており、移転的収入が大半を占めている。これに対し、対事業所サービスは移転的収入47.1%、事業収入51.3%と、総収入に占める事業収入のウェイトが比較的高くなっているのが特徴である。
    (2)消費支出の構成
     消費支出の構造を主な項目別に総支出額に対する構成比でみてみると、全団体では移転的支出57.4%、人件費19.9%、仕入原価3.6%となっている。
     これを事業形態別に分けると、対家計サービスは移転的支出が62.3%を占め、次いで人件費19.3%、仕入原価1.0%となっている。これに対し対事業所サービスは移転的支出5.8%、人件費26.5%、仕入原価31.5%となっている。
     このように対家計サービスでは移転的支出のウェイトが極めて高いのに対し、対事業所サービスは対家計サービスに比べ仕入原価、人件費等の項目のウェイトが高いのが特徴である。