平成20年度民間非営利団体実態調査結果について

平成22年2月1日
内閣府 経済社会総合研究所
国民経済計算部 国民支出課

調査の目的

 民間で非営利事業を営む事業所の収入、経費及び投資の状況を調査し、その経済活動を明らかにするとともに、GDPをはじめとする「国民経済計算」(SNA)推計のための基礎資料を得ること。

調査の結果

  1. 収入の状況

     平成20年度の民間非営利団体の収入は、31兆3,317億円(前年度比▲5.2%)となった。
     主な収入項目別にみると、移転的収入が25兆6,777億円(同▲5.2%)、事業収入は4兆9,807億円(同▲7.8%)となっている。これを項目別構成比でみると、移転的収入が82.0%を占め、次いで事業収入が15.9%となっている。
     また、これらを事業形態別にみると、対家計サービスの収入は29兆4,408億円(同▲4.7%)、対事業所サービスの収入は1兆8,909億円(同▲12.5%)となった。

  2. 経費の状況

     平成20年度の経費は、32兆1,447億円(同3.6%)となった。
     主な経費項目別にみると、移転的支出は18兆6,862億円(同2.5%)、仕入原価は1兆88億円(同▲3.0%)、人件費は6兆1,681 億円(同▲1.9%)となった。これを項目別構成比でみると、移転的支出58.1%、人件費19.2%、仕入原価3.1%となっている。
     また、これらを事業形態別にみると、対家計サービスの経費は29兆9,806億円(同3.6%)、対事業所サービスは2兆1,641億円(同3.3%)となった。

  3. 投資の状況

     投資は対家計サービスの事業所分のみの調査で、平成20年度は3,914億円(同15.0%)となった。

民間非営利団体実態調査について

  1. 調査の目的

     本調査は、民間で非営利事業を営む事業所の収入、経費及び投資の状況を調査し、その経済活動を明らかにするとともに、GDPをはじめとする「国民経済計算」(SNA)推計のための基礎資料を得ることを目的として毎年度実施している一般統計調査である。なお、本調査の結果は平成20年度国民経済計算確報(平成21年12月2日以降順次公表)に反映されている。

  2. 調査の対象

     本調査が対象とする「民間非営利団体」とは、SNAにおける民間非営利サービス提供者という概念に合致する団体全てを指し、営利を目的とせず社会的サービスを提供することを目的としている民間団体である。
     具体的には、以下の産業(番号は日本標準産業分類(平成19年11月改定)のコード番号)に該当し、「平成18年事業所・企業統計調査」(総務省)の経営組織が民営のもののうち「会社以外の法人」、「法人でない団体」が対象となる。
      820:管理、補助的経済活動を行う事業所(82その他の教育、学校支援業)
      821:社会教育
      840:管理、補助的経済活動を行う事業所(84保健衛生)
      842:健康相談施設
      850:管理、補助的経済活動を行う事業所(85社会保険・社会福祉・介護事業)
      851:社会保険事業団体
      853:児童福祉事業
      854:老人福祉・介護事業
          ただし、8542(介護老人保健施設)は対象外
      855:障害者福祉事業
      859:その他の社会保険・社会福祉・介護事業
      870:管理、補助的経済活動を行う事業所(87協同組合)
      872:事業協同組合(他に分類されないもの)
      931:経済団体
      932:労働団体
      933:学術・文化団体
      939:他に分類されない非営利的団体
      94 :宗教
      950:管理、補助的経済活動を行う事業所(95その他のサービス業)
      951:集会場
     民間非営利団体は、事業所に対してサービスを提供する対企業民間非営利団体(事業協同組合、経済団体)と家計に対してサービスを提供する対家計民間非営利団体(社会保険事業団体、老人福祉・介護事業、宗教 他)に分かれ、本調査上では前者の提供するサービスを「対事業所サービス」といい、後者の提供するサービスを「対家計サービス」という。
     また、本調査は民間非営利団体の行う事業のうち、収入及び経費については営利を目的としていない非営利活動のみを対象とし、投資については営利・非営利両方の活動を調査対象としている。

  3. 調査の方法

     事業所の代表者による自計申告方式。民間調査機関に調査事務を委託している。

  4. 利用上の注意

     (1)SNA上は「私立学校」、「政治団体」も民間非営利団体に含まれるが、他の調査がSNA推計に利用できるため、本調査では対象外としている。
     (2)本調査においては、「介護保険事業」(SNA上は「産業」扱い)及び「健康相談施設」(平成12年基準改定でSNA上の扱いが「対家計民間非営利団体」から「産業」に変更)を含めた形で集計を行っている点につき留意されたい。
     (3)結果の公表については日本標準産業分類(平成19年11月改定)(以下「平成19年11月改定」とする)に従っている。820、840、 850、870、950については、平成19年11月改定において主な中分類ごとに、小分類「管理、補助的経済活動を行なう事業所」として新設された分類であるが、「平成18年事業所・企業統計調査」(新産業分類による特別集計)において、これらについては従前の分類をそのまま適用していることを受けて、本調査においてもそれに従っている。

平成20年度調査の概要

  1. 調査事項

     (1)事業所の組織、事業内容等に関する調査
     (2)平成20年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)の収入、経費及び投資に関する調査

  2. 調査期間

     平成21年7月1日から同年9月30日の期間で実施した。

  3. 標本抽出の方法

     「平成18年事業所・企業統計調査」より推計した全国の対象民間非営利団体約200,924事業所を母集団とし、無作為抽出により、所定事業所を抽出した。

  4. 平成20年度調査の調査票回収率(調査対象数3,000事業所)

     調査票総回答枚数・・・2,480枚(総回答率・・・82.7%)
     調査票有効回答枚数・・2,270枚(有効回答率・・75.7%)
     (注)有効回答枚数:回収した調査票のうち、白紙など記入状況が極端に悪い調査票を除いた枚数。

平成20年度集計結果の概要

  1. 収入の状況

     平成20年度の民間非営利団体の収入は、全団体合計では31兆3,317億円で前年度比5.2%減となった。
     主な収入項目別にみると、移転的収入(寄付金や会費、補助金等の収入)が25兆6,777億円で前年度比5.2%減、事業収入(博物館や美術館の入場料収入、宗教団体への御布施・賽銭、バザーの売上等の収入)は4兆9,807億円で同7.8%減となっている。
     これを対家計サービスと対事業所サービスの事業形態別にみてみると、対家計サービスの収入は29兆4,408億円で前年度比4.7%減となり、対事業所サービスの収入は1兆8,909億円で同12.5%減となった。

  2. 経費の状況

     経費は全団体合計では32兆1,447億円で前年度比3.6%増となった。
     主な経費項目別にみると、他団体・個人への給付や負担金、会費などの支出である移転的支出は18兆6,862億円で同2.5%増、仕入原価は1兆88億円で同3.0%減、人件費は6兆1,681億円で同1.9%増となった。
     事業形態別にみると、対家計サービスの経費は29兆9,806億円で前年度比3.6%増となり、対事業所サービスは2兆1,641億円で同3.3%増となった。

  3. 投資の状況

     投資は対家計サービスの事業所分のみの調査で、平成20年度は3,914億円で前年度に比べ15.0%増となった。

  4. 収入及び経費の構成

    (1)収入の構成
     民間非営利団体の収入構造を総収入額に対する項目別構成比でみてみると、全団体では移転的収入が82.0%を占め、次いで事業収入が15.9%となっている。
     これを事業形態別に分けると、その構造には大きな違いがみられる。対家計サービスは移転的収入83.4%、事業収入14.4%となっており、移転的収入が大半を占めている。これに対し、対事業所サービスは移転的収入59.0%、事業収入39.2%と、総収入に占める事業収入のウェイトが比較的高くなっているのが特徴である。
    (2)経費の構成
     経費の構造を総支出額に対する項目別構成比でみてみると、全団体では移転的支出58.1%、人件費19.2%、仕入原価3.1%となっている。
     これを事業形態別に分けると、対家計サービスは移転的支出が61.8%を占め、次いで人件費18.4%、仕入原価1.5%となっている。これに対し対事業所サービスは移転的支出6.7%、人件費30.0%、仕入原価25.6%となっている。
     このように対家計サービスでは移転的支出のウェイトが極めて高いのに対し、対事業所サービスは対家計サービスに比べ仕入原価等の項目のウェイトが高いのが特徴である。