国民経済計算調査会議 第2回基本体系部会 議事概要

1.日時:

  • 平成12年10月23日(月)14:00~16:00

2.場所:

  • 経済企画庁 特別会議室(436号室)

3.出席者:

  • (委員・専門委員他)
  • 宍戸 駿太郎 委員長、赤羽 隆夫、石渡 茂、貝塚 啓明、倉林 義正、栗林 世、鈴木 多加史、高木 新太郎、中村 隆英、眞継 隆、の各委員
  • 大平 純彦、河野 正男、作間 逸雄、清水 雅彦、須田 美矢子、西嶋 周二、林 英機、原田 幸裕、松浦 宏、の各専門委員
  • 総務庁、日本銀行の各担当者
  • (事務局)
  • 加藤経済研究所所長代理、法専総括主任研究官、山下総括主任研究官、浜田国民経済計算部長、嶋田企画調査課長、丸山国民支出課長、他

4.議題:93SNAへの移行について

5.配布資料

  • (資料1)   平成7年基準改訂国民経済計算(93SNA)
  • (資料2)   平成7年基準改訂国民経済計算(93SNA)計数
  • (資料3)   平成7年基準改訂国民経済計算(93SNA)新旧対照表
  • (参考資料1) 93SNAへの移行のポイント
  • (参考資料2) 我が国の93SNAにおける表章形式

6.質疑応答

 浜田国民経済計算部長より、(資料1)に基づき93SNAへの移行および平成7年基準改訂について、意義・ポイント・新たな表章事項等について説明。その後、質疑応答。

(委員) 新規に計上する無形固定資産はコンピューターソフトウェアだけなのか。

(事務局)そうである。プラントエンジニアリングはソフトウェアより耐用年数が長いため、過去のフローのデータがストックを推計できる年数分そろっていない。

(委員) ソフトウェアのうち、インハウス(自社開発)分を計上しないのは不十分ではないか。計上しないことは、国際比較上問題ではないか。他国の状況はどうなのか。

(事務局)インハウス分もソフトウェア投資に含めるべきだと考えるが、基礎統計がなく、今回は推計できない。インハウス分の金額については、基礎統 計がなく何ともいえないが、アメリカ等の状況からさほど大きくないと考える。また、主要国では、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアでは計上して いるようである。

(委員) 再投資収益は計上しないのか。

(事務局)計上している。

(委員) 対外純資産の推計はどうするのか。

(事務局)従来は大蔵省の「対外の貸借に関する報告書」を使っていたが、それを93SNAベースで補足した日銀の「資金循環表」を使うことにした。

(委員) 部門別の資金過不足と貯蓄投資差額の不突合は拡大したのではないか。

(事務局)新体系では旧体系よりトータルの不突合はやや拡大したが、部門別には目立った差異はない。ただし、新しく加わった項目で基礎資料が十分整備されていないものもあることの影響で数字がブレている可能性がある。

(委員) 現実最終消費概念導入について、計数の比較だけでなく福祉水準の指標となる意義があると思うのでそれを強調すべきではないか。

(事務局)確かにそういう意義もあると考える。

(委員) 新体系では国内総支出のあとにいきなりに国民総所得がでており、関係がわかりにくいが、表章形式について工夫が必要ではないか。

(事務局)検討させていただく。

(委員) 今回の改訂は支出面中心で精度が向上しているが、生産面についてはリバイスが少なく精度が下がっており、統計上の不突合となっているのではないか。他の2面(生産・分配面)の改訂が不十分でないか。

(事務局)今回も従来の基準改訂同様I/O(産業連関表)を使っているので精度がさがることにはならない。支出面はコモ法により生産面より細かい分類で推計しており、そうしたきめの細かさの差が、不突合となって表れているのではないか。

(委員) 利用者側に配慮をして欲しい。新体系は、旧体系より複雑化しており、国連では用語集がないが、我が国では準備しているのか。また93SNAの意味づけを利用者にきちんと説明して欲しい。

(事務局)用語集等については11月中を目途に準備中である。

(委員) 新体系と財政統計との整合性はどうなるのか。

(事務局)財政統計とSNAはそれぞれの目的があり、同じようにするのは難しい。

(委員) 長期遡及系列はどこまで遡るのか。

(事務局)旧体系同様1955(昭和30)年まで遡るつもりであるが、いつまでに遡及を完了するかについては確たることはいえない。

(委員) 長期系列は必ずしも詳細な推計方法に基づく必要はなく、研究者サイドとしては、簡略でもいいから早く遡及して欲しい。

(委員) 長期遡及について68SNA移行時に1955年まで遡及作業が終了したのは、平成になってからであり、時間がかかるものと思う。

(委員) 鉱物探査費を無形固定資産に計上するのは、情報の資本形成であり、研究・開発費を資本形成に含めない根拠がなくなるので問題ではないか。

(事務局)FISIMについては、参考系列にすべく検討していたが、93SNA勧告では推計方法が明らかでないため、EUROSTATで検討中であることから今回は間に合わない。今後、資産・金融委員会に諮った上、来年の確報から参考系列として表章することとしたい。

(以上)