第6回GDP速報値検討委員会議事概要

1. 日時:平成12年12月22日(金) 10:00~11:30

2. 場所:経済企画庁 特別会議室 (436号室)

3. 出席者:

栗林 世 委員長、 大平 純彦、 中村 洋一、 舟岡 史雄、 宮川 努、 渡辺 源次郎 の各委員

加藤経済研究所長代理、 法専総括主任研究官、 浜田国民経済計算部長、 嶋田企画調査課長、 丸山国民支出課長 他

4. 議題:

1.暫定値推計における総固定資本形成の改善に関する検討について

2.QEにおける公的固定資本形成の推計方法の検討について

3.その他

5. 議事内容:

議題1.暫定値推計における総固定資本形成の改善に関する検討について

 四半期別GDP暫定値についての、委員からの主な意見は以下のとおり。

○今般の7~9QE公表時に大蔵省の作成している「法人企業統計季報」と経企庁の作成している「法人企業動向調査」との差異が問題視されたが、今までの検討でそうであったように、暫定値推計において、今後もQEと別の基礎統計を使う限り、暫定値とQEとの差異はなかなかせばまらない。

○暫定値のニーズがどのくらいあるのかについて、事務局で把握しているのなら教えて欲しい。

○暫定値を、一次速報値と同時とはいえ、作成・公表したことにより、暫定値と一次速報値との開差が明らかになったのには意義があり、今後、特に設備投資について開差の原因を分析することにより、暫定値を改善する余地がある。

○暫定値を、一次速報値より1か月早く公表するようになるとニーズは出てくると思うが、一方、今のような1次速報値との開差がある状況では信頼性の面で問題がある。速報値をどうしていくかも含めて、根本的にQEの早期化・正確化に取り組む必要がある。

○今後、暫定値を検討する際、一次速報値とではなく、確報値と比較することが重要。

○暫定値は経済がどのような方向に動いているかに関する情報を早い時期に提供することに意義があるが、暫定値とQEの推計方法とは同一資料・同一方法でないため開差は必然的に生じるものであり、その開差が世間に受け入れられないならば、暫定値の公表は難しい。

○他の国でやっているように、支出面だけでなく、生産面等からもアプローチすることによってGDPの概数だけを早期に公表することも検討してはどうか。

○暫定値と一次速報値との差異の必然性は統計作成者なら納得するが、世間には通用しないだろう。例えば生産統計などで暫定値を作成し、それは、QEとは別物であるというような立場をとる、いわば、情報追加型の別統計を考えることが必要。

○今般の7~9QEにおける「法人企業統計季報」と「法人企業動向調査」との差異の検証を大蔵省を通して総務庁に(統計調査原票の目的外使用の承認を)申請してでもできないものか。できれば個票同士をチェックすることが望ましい。

○原因追求は重要であるが、上記の2統計のカバレッジは異なっており、また一次速報では「法人企業動向調査」の実績見込みを使っているのも「法人企業統計季報」との差の要因と思う。

○現在、事務局において暫定値を一次速報値より、1ヶ月早く公表すべく検討しているが、早め方を1か月ではなく若干遅らせることにより、開差等を改善する方策もあるのではないか。

議題2.暫定値推計における総固定資本形成の改善に関する検討について

 QEにおける公的固定資本形成の推計方法についての、委員からの主な意見は以下のとおり。

○公共工事の契約額と支払額のデータが提供されるようになったので、そのデータと四半期ベースのIGの関連を調べて、7割のカバレッジの限界について対応を検討していく必要がある。

○建設省の月次統計の調査概念が変わったことによる影響について検討する必要があるのではないか。

○建設省の月次統計の概念変更は、公的固定資本形成の推計に際しては大きな影響はない。

○確報の四半期パターンに近づくということであれば、年度が出揃う1-3月期のQE時点で4-6月期まで遡って改定するのは良いことである。

○1-3月期の推計時に前年の4-6月期まで遡って改定するのは、1-3月期にしわがよるのを防ぐ意味で非常によいのではないか。

議題3 その他

○QEの推計方法を検討する際、確報での四半期分割の方法についても考えておく必要がある。

○確報においてもカバレッジの低い統計による四半期の計数で四半期分割していることが四半期の動きのブレに影響を与えているのではないか。もっとカバレッジの広い統計を使用すべきだ。

○QE推計の際に四半期の伸び率を用いているが、レベルを回帰分析等して用いるなどの手法を用いれば、もっと動きがなめらかになるのではないか。

○四半期推計の基礎資料として、現在用いているものよりカバレッジの広いものが他にあるかという問題はあるが、例えば総固定資本形成などについてはあるかもしれないので、そのような観点での検討は行っていきたい。

以上

なお、本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。