第3回GDP速報値検討委員会議事概要

1. 日時:平成12年6月22日(木) 10:00~12:00

2. 場所:経済企画庁 官房会議室 (708・709号室)

3. 出席者:

栗林 世 委員長、大平 純彦、中村 洋一、西山 茂、西村 清彦、舟岡 史雄、渡辺 源次郎の各委員、および美添 泰人青山学院大学教授
貞広経済研究所長、法専総括主任研究官、奥本総括主任研究官、浜田国民経済計算部長、嶋田企画調査課長、丸山国民支出課長 他

4. 議題:1.民間最終消費支出の現行推計における供給側統計を用いた推計部分の拡充の可能性について

    :2.季節調整について

    :3.季節調整法の再検討

    :4.93SNA移行への対応について

5. 議事内容:

議題1.民間最終消費支出の現行推計における供給側統計を用いた推計部分の拡充の可能性について

 浜田国民経済計算部長よりSNAの民間最終消費支出における販売側統計を用いたパソコンの推計方法について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○民間最終消費支出の推計において、パソコンについて供給側の統計を用いた場合と用いない場合とでは、消費全体の動きにはほとんど変化がない。

○QEと確報の推計アプローチは同じであるのが望ましく、パソコンを含め各品目の推計方法を、(確報推計で用いる)工業統計表との関連も考慮して総合的に検討するべきである。

○QEと確報は性質の異なるデータを使用しているため、そもそも連動させるのは難しい。QEと確報のギャップは小さいにこしたことはないが、速報と確報は全く別の系列として、ある程度のギャップは割り切るという考え方もある。

○ある品目の推計手法を変更する場合、自動車購入のように「購入頻度が低い」「購入金額が大きい」といった理由づけが必要となる。パソコンの推計方法を変えるとなると、他の耐久消費財との関係を整理し、推計方法のプリンシプルをどのように確立しているのか、外部からみて分かるよう努めなければならない。

○家計調査でイレギュラーな動きをする品目は多い。パソコンについて推計方法を変更するにあたっては、家計調査のなかでイレギュラーな動きをする品目、購入頻度が低いものを洗いだし、他の統計を用いることでパフォーマンスが改善されるかどうか、より適切に推計できるかどうか精査したうえで行うべきではないか。

○現実問題としては、家計調査のなかからある程度基準を定めて品目をピックアップし、推計手段を変更するよりほかないと思われる。

議題2.季節調整法について

議題3.季節調整法の再検討

 美添教授より季節調整を巡る論点について説明。

 浜田国民経済計算部長より季節調整法の再検証結果について説明。

 奥本総括主任研究官よりセンサス局法X‐11の曜日調整の方法と問題点について説明。

 その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○季節調整法については充分に検討したうえで基準を定め、そのルールに従って選択していくべきである。

○また、結論だけでなく、選択過程を含めて公表する姿勢が問われている。

○X-12-ARIMAについては、民間最終消費支出のようにX-11より明確に良い結果が出る項目については積極的に採用すべきである。

○GDPは個別の需要項目毎の積み上げであり、季節調整方法についても個別項目ごとに最適な方法を選択すべきである。

○短い周期で季節調整の方法(モデル、オプション)が変更されるのは、ユーザーにとっても望ましくない。

○他方、93SNAに移行後当面は時系列データの期間が短くなるので、今後のデータの蓄積を考慮すると、ある程度の周期で変更したほうがよい。

○季調替えについては、他の点の改訂と同時にしたほうがよいので、今までどおり年1回の季調替えでよいのではないか。

議題4.93SNA移行への対応について

 浜田国民経済計算部長より93SNAにおける受注ソフトウェアの投資への計上ついて説明。

 その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○93SNA移行に沿ったことなので、これでよい。

○基礎統計の制約により、個別のソフトウェアプロダクトを中間消費と固定資本形成とに区分できないために中間消費に全額計上するということであるが、アメリカと比較して推計範囲が狭くなるといった面もあり、基礎統計の整備が必要である。

以上

 なお、本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。