第4回GDP速報値検討委員会議事概要

1. 日時:平成12年7月31日(月) 14:00~16:00

2. 場所:経済企画庁 官房特別会議室 (729号室)

3. 出席者:

栗林 世 委員長、 新居 玄武、 大平 純彦、 舟岡 史雄、 宮川 努、 渡辺 源次郎  の各委員

貞広経済研究所長、 加藤経済研究所次長、 法専総括主任研究官、 奥本総括主任研究官、浜田国民経済計算部長、嶋田企画調査課長、  丸山国民支出課長 他

4. 議題:

1 季節調整について

2 単身世帯の消費支出データの利用可能性の検討について

3 93SNA移行への対応について

4 個人消費統計・調査の改善策の検討について

5. 議事内容:

議題1.季節調整について

 浜田国民経済計算部長より季節調整法の再検証結果について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○今回は実質系列についてのみ比較・検証しているが、現在の物価の状況を鑑みれば、名目値についても検証する必要があるのではないか。

○基本的には、今後の方向性としては、X-12ARIMAに移行することでいい。

○統計学会では、医療費が曜日の影響を強く受けるとの報告があった。

○データ期間により選択されるモデルが変わることがあるとの問題については、GDP項目の成長率が安定していれば、モデル自体が変わることに神経質になる必要はないのではないか。

○例えば医療費と小売店舗のように、曜日効果は品目により逆に働くことがあり、かつ品目構成は年々変化するもの。個人的には、シンプルなほうが望ましいのではないかと思う。

○どのようなモデルが良いかは、AIC基準によるとしても、基本的にはX12-ARIMAを使用するという方針でいい。

議題2.単身世帯の消費支出データの利用可能性の検討について

 浜田国民経済計算部長より単身世帯収支調査の利用可能性の検討について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○「単身世帯収支調査」では、学生が除かれているので、これを用いたとしても、概念的な漏れが出てくるのではないか。

○年次推計では、コモディティーフロー法によって、家計消費支出として漏れなく押さえられ、それをQEのベンチマークとしているので、水準として漏れているわけではない。

○「単身世帯収支調査」を利用する際、2人以上の「家計調査」との合計にあたっては、ウエイトの置き方が重要。

○「家計調査」と「単身世帯収支調査」における可処分所得の比較をみると、「単身世帯」のほうがブレが大きい。その背景には、単身世帯のほうが残業などフレキシブルに働くことや、学生であれば、アルバイト収入の変動が大きいことが考えられる。

○「単身世帯収支調査」をみると、確かに最近伸びていることが分かる。こうした傾向を反映させるべく、この調査を経済統計上も活用していただきたい。

議題3.93SNA移行への対応について

 浜田国民経済計算部長より93SNA移行への対応として、社会資本への固定資本減耗の拡張について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○簿価ベースの固定資本減耗をデフレーターを使って実質化することの概念が分かりにくいのは、日本の基礎統計が簿価評価であることに由来している。我が国の会計制度の国際基準との整合性が問われている中、今後、我が国でも資産の時価評価を行うことが統計上でも課題であろう。

○QE推計の際の社会資本の固定資本減耗の推計方法について、減耗分は、年ごとに四半期の減少割合が変化することはないと思われるため、そのまま確報のトレンドから判断して四分割すればよいのではないか。

○QE推計上でも、前年末の社会資本のストックと当年の投資から社会資本減耗が推計できるのではないか。

議題4.個人消費統計・調査の改善策の検討について

 浜田国民経済計算部長より第五回個人消費動向把握手法改善のための研究会議事概要について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○家計調査の高額費目はブレが大きいかもしれないが、「家計調査」内の他の費目と相互に補完していると思われるので、多くの高額費目を供給側統計に置き換える場合は、他の費目との関係を十分吟味する必要がある。

○高額消費も原則としては、需要側統計のサンプルの拡大により捉えるべきである。サンプルを拡大してもなかなか抽出されてこないような冠婚葬祭関係の費用等についてのみ、供給側統計を使用すればよいのではないか。

○計量モデルをQE推計の際の統計数字算出に用いるというのは、理論上好ましいことではない。推計する際に、統計量の基本的性質が変化してしまう恐れがある。また、予測と統計が融合してしまう。

○ブレがないようにするなら、計量モデルをQE推計に利用してもよいのではないか、という意見が「個人消費動向把握手法改善のための研究会」に出ている。ただし、これは哲学の問題にもつながる。

○1次統計を積み上げるcompilation と計量モデルにより推計するestimationとは異なる。GDP統計の作成は、compilationであり、estimationとは違う。

○全てのデータでなく良いデータだけを利用するという、リサンプリングの手法を導入してみてはどうか。ただし、どうやって客観的に悪いデータを除くかという問題はある。

○消費把握のための大規模調査を行うタームに関しては、QE推計に利用できればよいので四半期毎でよいのではないか。月次にすると精度が落ちる恐れがある。

○詳細な統計が取れることが望ましいのはもちろんであるが、だんだん困難になってくるのではないか。これからは、詳細な統計が取れない場合にどう推計すればいいのかを考えるべき。

○GDP統計は生産・支出・所得の3面が合うように近づけるのが理想なのであって、あまり生産側の統計ばかり使用するということになると問題なのではないか。

以上

なお、本議事概要は速報のため、事後修正の可能性があります。

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