第5回GDP速報値検討委員会議事概要

1.日時:平成12年10月19日(木) 14:00~16:00

2.場所:経済企画庁 特別会議室 (436号室)

3.出席者:

栗林 世 委員長、 大平 純彦、 外川 洋子、 中村 洋一、 西村 清彦、 西山 茂、 渡辺 源次郎 の各委員

加藤経済研究所長代理、 法専総括主任研究官、 山下総括主任研究官、 浜田国民経済計算部長、 嶋田企画調査課長、 丸山国民支出課長 他

4.議題:

   1.GDP速報値検討委員会第1次検討結果報告(案)について

   2.暫定値推計における総固定資本形成の改善に関する検討について

   3.公的固定資本形成の推計方法の検討について

5.議事内容:

議題1.GDP速報値検討委員会第1次検討結果報告(案)について

 浜田国民経済計算部長より第1次検討結果報告について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○単身者世帯の消費支出を推計するにあたり、『単身世帯収支調査』(総務庁)はサンプル数が1,000世帯を下回っており、標本の誤差や代表性などの問題も考えられる。『単身世帯収支調査』は発足したばかりの統計でもあるので、利用するにしても、『家計調査』(総務庁)による人口5万人以上の勤労者世帯のデータを利用して推計する現在の推計方法との間で、今後相互検証をしていく必要がある。

○単身世帯の消費支出として「家計調査」人口5万人以上の勤労者世帯のデータを利用する現在の方法だと、最近単身者で特に伸びている通信費の動きが追えないという問題がある。

○<一過性>で<高額>な支出は、自動車やパソコンなどの耐久消費財だけでなく、墓地・墓石の購入や結婚費用、授業料などのサービスに対してもあるようなので、今後こういった分野も含めて高額消費の推計は検討していく必要がある。

○調査局の個人消費動向把握研究会の提言の中心は、供給側統計の活用ではなく、需要面からの大サンプル調査にあるのではないか。

議題2.暫定値推計における総固定資本形成の改善に関する検討について

 浜田国民経済計算部長より、暫定値推計における総固定資本形成の代替的な推計方法について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○『法人企業統計季報』を使用せずに「出荷指数」等を使うというのであれば、出荷指数で得られる結果を踏まえて慎重に検討すべき。

○『法人企業統計季報』の代わりに供給側統計である「出荷指数」等を使えば、公的・民間の区分が出来なくなるのではないか。

○『法人企業統計季報』を使用せずにQEを出したところで、後で『法人企業統計季報』が公表され、それと比べてそれと同じ動きをしていないからおかしい、という指摘がなされる恐れがある。

○以前QE推計において、『法人企業統計季報』の利用をやめた時期があったが、計数のブレが大きくなり、再度利用せざるを得ない事態に至ったという経緯もある。

○正確性と速報性の両方を満たす方法は、現在のところまだ開発されていない。

○暫定値とQEとの開差を少なくすべく検討しているが、そもそもQEの早期化を図るべき。

○現在のようなゼロ成長のように、0.1成長率が食い違うだけで「大きく振れた」といわれる状況では、とても暫定値を使えたものではないのではないか。

○設備投資のみならず消費についての検討も行って欲しい。

○消費については、調査局への個人消費動向把握研究会の提言の一つである供給側統計の活用の可能性の検討の中でやっていきたい。

議題3.公的固定資本形成の推計方法の検討について

 浜田国民経済計算部長より公的固定資本形成の現行推計方法の問題点について説明。その後、自由討議。委員からの主な意見は以下のとおり。

○年度第4四半期(1-3月期)にしわが寄るというのであれば、年度第4四半期の公表時に、当該年度を遡及して改訂すればよいのではないか。

○改訂時期をいつの時点(速報か確報か)にするかが問題である。正確性を求めるならば、IGに関しては速報時に年度内の改訂を行えばよいということになるが、頻繁に改訂せず、確報時に季節調整と合わせて行ったほうがユーザーフレンドリーではある。

○全て1‐3月期にしわ寄せするのでなく、年度値が出た段階でIGは遡及して推計してはどうか。

○関係省庁からデータを提供いただけることとなったということだが、推計方法は現行のQEと同じ手法でよいか。データを活用できる可能性を積極的に検討すべきである。

○海外のIG推計が現金主義か発生主義か調べて参考にしてはどうか。カバレッジの広いデータがあるのであれば、現金主義でも月次の契約済額や支出済額を使用してもよいのではないか。

○SNAにおける発生主義の原則は確報ではそれほど厳密ではないのではないか。現金主義ベースのデータでも利用する価値はあるのではないか。

○経済学者の立場からは、現金主義は問題。発生主義とすべきである。

○発生主義か現金主義かは別にして、契約済額や支出済額のデータが蓄積された段階でパターンを把握する必要はある。

○確報でIG推計をどのように行っているかをふまえてQE推計を考えるべき。

○確報で行っているように、生産系列のQEと支出系列のQEとで比較して統計上の不突合をもとに相互の計数のチェックを行う仕組みが必要なのではないか。

以上