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介護・保育サテライト勘定の研究結果

平成12年6月27日
経済企画庁経済研究所

要旨

 経済企画庁は、少子高齢化社会の進展を踏まえ、「介護・保育サテライト勘定」の研究を平成9年度から3ヵ年計画で実施した。
 「介護・保育サテライト勘定」とは、国民経済計算体系(SNA)の概念等に沿いつつ、介護・保育に関する生産、消費、資本形成等の状況をマクロ経済統計として整備するものであり、その成果は、介護・保育に関する経済的分析・予測に役立つことが期待された。
 しかし、介護・保育分野では、経済統計作成に利用可能なデータが極めて乏しいため、3年間の研究によって一定の成果は得られたものの、その意義は限定的なものにとどまった。

介護・保育サテライト勘定とは

 「介護・保育サテライト勘定」は、「政府が社会福祉として提供する介護・保育サービス」、「事業者が有償で提供する介護・保育サービス」、「家族がその老親や子供のために無償で行う介護・保育」といった社会全体の介護・保育サービスを金銭単位で統一的に把握し、その生産と消費、費用負担の状況等を明らかにするとともに、併せて介護・保育のための資本形成(介護・保育施設の建設など)等も把握し、介護・保育に関する経済的側面の理解、分析に資することを狙いとするものである。
 「福祉分野への市場活力の導入」、「介護労働負担の社会化」、「保育サービスの充実による女性労働力の解放」といった問題が社会的な議論となっているが、介護・保育サテライト勘定は、このような議論に経済的基礎データを提供するものとなる。
 介護・保育サテライト勘定は、環境・経済勘定と同様、国民経済計算体系(SNA)のサテライト勘定の一つであるが、介護・保育という特殊な分野を対象としたサテライト勘定の作成例は、世界でも類例がない。

「介護・保育のための国民支出」と物量表

 介護・保育サテライト勘定体系の構築に当たっては、環境保護支出勘定体系を参考にした。
 環境保護支出勘定では「環境保護のための国民支出」という指標が算出されるが、介護・保育サテライト勘定においても同様に、介護・保育のために国全体で一年間にいくら費用を費やしているか、を表す「介護・保育のための国民支出」を算出してみることとした。
 この「介護・保育のための国民支出」は、介護・保育サービス(老人ホームが提供する介護サービスや保育所が提供する保育サービス)の総消費額介護・保育のための総資本形成額(老人ホームや保育所の建設費)等から構成されることとなる。
*介護・保育サービスが政府等の福祉サービスとして提供される場合、サービス利用者(家計)は対価を支払う必要がないことがあるが、その場合の消費額をサービス供給のための費用の積み上げによって計算する方法がある。この消費額は、一面、サービス供給者の自己消費額であるが、他方、サービス利用者の受益額でもあるので、1993年改訂SNAでは、サービス利用者の受益額を表す「家計現実最終消費」と定義されている。
 もちろん「介護・保育のための国民支出」は多ければよい、ということではない。それだけの費用で、どのような質と量の介護・保育サービスが供給され、どのような施設が建設されたか、が本質的には重要である。このため、金額データの勘定表とともに、介護・保育に関する物量データを集めた物量表も作成した。金額データの勘定表と物量データの物量表を合わせて見ることにより、介護・保育のための支出の費用対効果を分析することができる。

家族による介護・保育と「介護・保育のための拡張国民支出」

 介護・保育の分野では、福祉サービスや市場サービスとして提供される介護・保育サービスと家族が自らの家族を介護・保育することとのバランスや役割分担が大きな論点となる。
 このため、通常は貨幣評価されることのない「家族による無償の介護・保育サービス」についても、以下に示す「無償労働の貨幣評価」の手法を使って、その貨幣評価額を推計した。この貨幣評価額は、家計が生産し、自己消費する介護・保育サービス額とみなすことができる。
(家族による介護・保育サービス額)=
   (家族が行った介護・保育時間)×(市場における介護・保育サービス生産労働者の時間当たり賃金)
 このような「家族による介護・保育サービス」は、福祉・市場の介護・保育サービスと代替・補完の関係にあり、これらの額を総合計したものが、社会における介護・保育サービスの総生産・消費額ということができる。
 このため、先の「介護・保育のための国民支出」に「家族による介護・保育サービスの家計自己消費額」を加えたものを「介護・保育のための“拡張された”国民支出」と定義することができる。

介護・保育サテライト勘定の内容

試算の対象

  1. 介護・保育サービス
     65歳以上の要介護老人を介護する「介護サービス」小学校就学前の乳幼児を保育する「保育サービス」を介護・保育サテライト勘定における主要な把握対象とし(サービスのみを対象とし、サービスに伴い消費される物(食事等)は推計から除いている)、次のような介護・保育サービスについて、その家計現実最終消費額を試算した(介護・保育サービスの中間消費はない)。
    • 介護サービス
       以下の施設が提供する入所サービス
        特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームA型、
        ケアハウス、老人保健施設、病院、有料老人ホーム
       以下の在宅サービス
        ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ、訪問看護、デイケア
       家族による介護
    • 保育サービス
       認可保育所、認可外保育所、幼稚園、ベビーシッター、家族による保育
       なお、放課後の小学生を対象とする「学童保育」も特別に試算対象とした。
  2. 介護・保育関連サービス
     「人の世話をする」という「介護・保育サービス」そのものではないが、「介護・保育に関する情報提供サービス」、「介護・保育用機器等の給付・貸与サービス」といった「介護・保育関連サービス」も試算対象とした。具体的には、保育分野は試算できるものがなかったが、介護分野は、次のサービスについて試算した。
     在宅介護用機器の給付・賃貸サービス、移送サービス、
     緊急通報サービス、情報提供・相談サービス
  3. 介護・保育のための資本形成
     介護・保育サービスを生産するためには、老人ホームや保育所などの施設=固定資産が必要となる。したがって、試算対象年度におけるそれらの固定資本形成額、すなわち、施設建設額等も試算対象とした。
     具体的には、上記の介護・保育サービスを生産するための施設に係る固定資本形成額を試算すべきであるが、これらについては、ほとんど基礎データがなく、不充分ながら試算したのは、次の施設である。
    • 介護福祉施設(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームA型、
       ケアハウス、短期入所施設、デイサービスセンター、在宅介護支援センター等)
    • 幼稚園

勘定表

 介護・保育サテライト勘定は、4つの金額表示の勘定表(表-1~8)によって構成され、これに物量表(表-910)が付属する。

  1. 介護・保育のための国民支出表(表-1
     介護・保育サービス及び関連サービスの消費額、介護・保育のための資本形成額を部門別に記述し、その合計として「介護・保育のための(拡張)国民支出」を算出する表である。
  2. 介護・保育サービスの生産者表(表-2
     介護・保育サービスの生産額を生産部門別に記述する表である。
  3. 介護・保育サービスの生産費用表(表-3
     介護・保育サービスの生産費用構成を記述する表である。
  4. 介護・保育に係る資金負担表(表-4
     介護・保育サービス及び関連サービスの消費や介護・保育のための資本形成に必要な資金について、部門別に負担額を記述する表である。
     資金負担部門から消費部門や資本形成部門に資金が移転して消費や資本形成が行われるので、この資金負担表と国民支出表をつなぐ「資金移転表」を付属させた。

試算結果

 以上のような勘定体系により介護・保育サテライト勘定の試算を試みたが、率直に言って、その結果は極めて不充分な基礎データに基づく不完全なものとなっている。したがって、試算結果の概要を紹介するに当たり、まず、その留意点を明らかにしておく。

(1)留意点

  1. 対象とした介護・保育サービスの範囲
     対象とした介護・保育サービスは、先に記述したとおりであるが、これで介護・保育サービスが網羅されているわけではない。むしろ、何らかデータが入手できるものがこれだけあった、ということであって、規模は大きくないかもしれないが、他にも多様な介護・保育サービスがあると考えられる。
     また、何をもって「介護・保育サービス」とするかは、実際上判断が難しい場合もある。例えば、介護と医療を峻別することは容易ではなく、本試算では、老人病院等における老人医療費の入院費分を介護費用とみなす、といった大胆な割切りにより推計を行っている。
  2. 生産額推計の基礎データ
     介護・保育サービスの生産額は、多くの場合、その生産に要した「費用」または生産のために調達した「資金」の積み上げにより推計しているが、それが首尾一貫したデータとして入手できたものは幼稚園だけである。それ以外は、様々な関連データを大胆に加工し、継ぎ接ぎして作成し、どうしても埋められないデータの空白部分は残されたままとなっている。したがって、数値が示されているものであっても、全体像をきちんと押さえて、推計できているわけではない。
  3. 対家計民間非営利団体の自己負担額
     2.に関連して、介護・保育サービスの生産は対家計民間非営利団体によって行われる場合が多いが、対家計民間非営利団体は、その生産活動のための資金の一部を寄付金・基金運用益等といった自己資金で賄うことに特徴がある。
     しかしながら、その自己資金調達分を推計できる基礎データはほとんどないため、これを推計に入れることができず、対家計民間非営利団体の生産額は過小推計となっている。
  4. 固定資本減耗額
     介護・保育サービス生産額は、その生産のための中間投入額、雇用者所得額、固定資本減耗額等に分配されるものであるが、介護・保育サービス生産額を生産費用や資金の積み上げによって推計する場合に、固定資本減耗、すなわち資本減耗引当がその基礎データに含まれているかどうか、判断が難しいことが多い。
     もし含まれていないならば、積み上げた額にさらに固定資本減耗額をプラスして生産額を計算する必要があるが、この固定資本減耗額を推計できる基礎データがないため、本試算では、固定資本減耗を含まない生産額となっているものがある。
     産業連関表の投入表によれば、社会福祉部門における資本減耗引当は、生産額の2.5%を占めるところであり、これによるならば、固定資本減耗を考慮に入れると生産額は2.5%以上大きくなる。
  5. 資本形成額推計の基礎データ
     介護・保育のための資本形成を推計できる基礎データは、サービス生産額推計の場合にも増して、ほとんど存在しないと言ってよい。幼稚園の資本形成額と介護福祉施設に対する施設整備補助金額が入手できる程度であり、その他の資本形成額については把握できなかった。
    * 以上のように、介護・保育分野における経済統計作成のための基礎データは基本的に欠如している、と言わざるを得ない。介護・保育問題が経済的視点から論じられることも近年多くなってきているが、正確な経済的分析には正確な経済基礎データが存在することが前提である。そのような正確な経済基礎データを収集整備するには費用も人手もかかり、データ整備と経済分析を行うこと自体の費用対効果も考えなければならないが、もし介護・保育問題について正確な経済分析を行うべき、という強いニーズがあるならば、経済基礎データの収集整備から始める必要がある。

(2)試算結果の概要

 本試算においては、「家族による介護・保育サービス生産額」の推計が可能な平成8年時点を対象とした。近年、児童福祉法の改正、介護保険法の制定等、介護・保育分野の制度に大きな変化が起こっており、現在の問題を考える場合には、時点の違いを十分に考慮に入れる必要がある。
 以下、介護と保育に分けて試算結果を概説するが、先に記述したように、その基礎データや推計手法には多くの問題が残されたままであり、数値自体は限定的な意義を持つにとどまる。特に、資本形成額はほとんど推計できていないので、以下では説明を省く。

(介護)

表-1 「介護のための国民支出表」

 平成8年の「介護のための国民支出」は3兆2409億円で、対GDP(500兆3097億円)比は0.65%、うち市場介護サービス(福祉給付を含む)の消費額が2兆8101億円(構成比87%)、介護関連サービス額119億円(同0%)、介護のための資本形成額が4189億円(同13%)であった。
 市場介護サービス額の内訳は、入所サービス額が2兆3384億円(構成比83%)、在宅サービス額が4717億円(同17%)であった。入所サービスの中で最も額が大きいのは、病院による介護サービス(老人病院等の老人医療費の入院費分から推計)の1兆2407億円で、入所サービス額の53%を占めた。その他では、特別養護老人ホームの5814億円(同25%)、老人保健施設の3789億円(同16%)が比較的大きい。在宅サービスでは、デイサービスが1799億円(同38%)、ホームヘルプサービスが1412億円(同30%)となった。ただし、入所サービス額はそれなりに基礎データがあるが、在宅サービス額は基礎データが乏しく、数値の信頼性は比較的低い。
 一方、家族による介護サービス額は1兆6814億円であり、市場介護サービス額の約6割に達した。これを含む「介護のための拡張国民支出」は4兆9223億円であり、対GDP比は0.98%となる。
 このような金額データを物量データと合わせてみると、病院における要介護老人一人当たりの介護額は385万円/年、同じく老人保健施設331万円/年、特別養護老人ホーム247万円/年となる。このような数字の違いは、施設における介護コストの違いというよりは、医療的な費用が含まれるかどうか、の問題かもしれない。一方、在宅要介護老人一人当たりの市場在宅サービス額は30万円/年、家族介護サービス額は108万円/年であり、合計すると年間138万円となる。

表-2 「介護サービスの生産者表」

 在宅介護サービスの生産者は把握できておらず、入所介護サービスでは、産業が1兆708億円(構成比46%)、対家計民間非営利団体が7131億円(同30%)、政府が5544億円(同24%)生産している。産業の構成比が大きいのは、病院・老人保健施設という医療系施設サービスの生産額が大きいためであり、特別養護老人ホームといった福祉施設サービスだけでみると、対家計民間非営利団体が6006億円で構成比86%を占めることになる(ただし、対家計民間非営利団体の生産額は過小推計であることに留意)。
 一方、家族介護サービス生産額は1兆6814億円であるから、部門別生産額では家計が最も大きいことになる。その内訳は、女性による介護サービス1兆3709億円(構成比82%)、男性による介護サービス3105億円(同18%)であり、女性の介護サービス生産額の大きさがわかる。また、家族介護者一人当たりの生産額は59万円/年であり、女性介護者77万円/年、男性介護者27万円/年である。

表-3 「介護サービスの生産費用表」

 本表はまったく推計できなかったが、参考までに産業連関表投入表:社会福祉・医療の生産費用構成比を付属させた。
 例えば、国の予算額等から推計した介護福祉施設による入所サービス生産額7016億円には固定資本減耗額が含まれていないと考えられるので、これを社会福祉計の資本減耗引当2.5%を使って再計算すると、生産額は7196億円になる。
 また、家族介護サービス生産額1兆6814億円は、実は市場介護サービスにおける雇用者所得相当とみなすことができるので、この家族介護サービスをすべて市場介護サービスに代替させる場合(あまり現実的な仮定ではない)の追加的市場介護サービス需要額は、社会福祉計の賃金・俸給等の構成比67.4%を使うと、2兆4947億円になる。これは、家族介護をすべて市場サービスに代替させた場合の新たな介護サービス市場の規模であり、既に有る市場規模に匹敵する。また、これに伴い、家族介護サービス生産従事者(285万7千人)×一日介護時間(55分)×365日=約9億5590万時間・人/年の労働力(年平均労働時間1919時間(H.8)で労働人口に直すと49万8千人:その8割以上は女性労働力)が解放されることとなる。

表-4 「介護に係る資金負担表」

 国民支出表においては、家計がすべての介護サービスを現実最終消費しているが、その消費のための資金は、大半、政府や社会保障基金が負担している。市場介護サービス総消費額2兆8101億円のうち、家計の資金負担額は2243億円・8%であり、入所サービス・在宅サービスの間でこの比率に違いはない。残りは、政府が55%、社会保障基金が37%負担しているが、社会保障基金の資金負担は医療系介護サービスに限られる。また、現実には対家計民間非営利団体の資金負担もあるはずだが、それは把握できていない。
 なお、老人保健施設については家計の資金負担が0になっているが、これは推計上の割切りによるものであり、実際に資金負担がないとは言いきれない。

(保育)

表-5 「保育のための国民支出表」

 平成8年の「保育のための国民支出」は2兆6995億円で、対GDP(500兆3097億円)比は0.54%、うち市場保育サービス(福祉給付を含む)の消費額が2兆6040億円(構成比96%)、保育のための資本形成額が955億円(同4%)であった。
 市場保育サービス額の内訳は、認可保育所が1兆6940億円(構成比65%)、幼稚園が7684億円(同29%)、認可外保育所が1318億円(同5%)であった。ただし、認可保育所及び幼稚園は基礎データがある程度揃っているが、認可外保育所は基礎データが極めて乏しく、数値の信頼性は低い。
 一方、家族による保育サービス額は7兆3138億円であり、市場保育サービス額の2.7倍に達した。これを含む「保育のための拡張国民支出」は10兆133億円であり、対GDP比は2.0%となる。
 このような金額データを物量データと合わせてみると、認可保育所の乳幼児一人当たりの保育費用は100万円/年、幼稚園は43万円/年(ただし、幼児のみ)となる。一方、乳幼児一人当たりの家族保育サービス額は101万円/年である。

表-6 「保育サービスの生産者表」

 保育サービスは、市町村が1兆2943億円(構成比50%)、対家計民間非営利団体が1兆1790億円(構成比45%)、産業が1278億円(同5%)生産している(ただし、対家計民間非営利団体の生産額は過小推計であることに留意)。産業が生産しているのは、事業所内保育所等の認可外保育所サービスである。
 一方、家族介護サービス生産額は7兆3138億円であるから、部門別生産額では家計が飛び抜けて大きい。その内訳は、母親6兆2572億円(構成比86%)、父親6853億円(同9%)、祖父母3713億円(同5%)である。家族保育者一人当たりの生産額は61万円/年であり、その内訳は、母親122万円/年、父親13万円/年、祖父母23万円/年となる。このように、家族保育サービスは、ほとんど母親が生産していることが明らかである。

表-7 「保育サービスの生産費用表」

 本表はまったく推計できなかったが、参考までに産業連関表投入表:社会福祉・学校教育の生産費用構成比を付属させた。
 例えば、収支調査結果から推計した幼稚園の生産額7684億円には固定資本減耗額が含まれていないと考えられるので、これを学校教育計の資本減耗引当7.0%を使って再計算すると、生産額は8262億円になる。
 また、家族保育サービス生産額7兆3138億円は、実は市場介護サービスにおける雇用者所得相当とみなすことができるので、この家族保育サービスをすべて市場保育サービスに代替させる場合(極めて非現実的な仮定である)の追加的市場保育サービス需要額は、社会福祉計の賃金・俸給等の構成比67.4%を使うと、10兆851億円になる。これは、家族保育をすべて市場サービスに代替させた場合の新たな保育サービス市場の規模であり、既に有る市場規模の4倍に近い。また、これに伴い、少なくとも家族保育サービス生産に従事している母親(502万3千人)×一日保育時間(2時間39分)×365日=約48億5850万時間・人/年の女性労働力(労働人口換算で253万人)が解放されることとなる。

表-8 「保育に係る資金負担表」

 国民支出表においては、家計がすべての保育サービスを現実最終消費しているが、その消費のための資金は、かなりの部分、政府が負担している。市場保育サービス総消費額2兆6040億円のうち、家計の資金負担額は8155億円・31%であり、認可保育所で21%負担、幼稚園で49%負担となっている。政府の負担は総額1兆7267億円・66%負担であり、認可保育所で79%負担、幼稚園で47%負担である。
 また、現実には対家計民間非営利団体の資金負担もあるはずだが、私立幼稚園の259億円・5%負担だけが推計されている。なお、産業は、事業所内保育所に対して359億円の事業費補助を支出している。

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