平成12年度調査:企業行動に関するアンケート調査(平成13年(2001年)4月27日公表)                         「ITがもたらす企業経営改革」 Annual Survey of Corporate Behaviors

調査の背景

バブル崩壊とその後の「失われた10年」が過ぎ、景気は未だ本格的回復軌道に乗れずにいる。企業統合等、業界の再編が進み、雇用や設備のリストラは続いているが、日本経済が力強い競争力を取り戻すためには、企業が過剰資産の削減にとどまらず、新たな付加価値を創造するための努力をしていくことが必要である。

1990年代の米国経済が長期にわたる拡大を続けた背景には、ITによる生産性向上があると言われる。日本企業においてもパソコン等のIT機器の導入は飛躍的に進んでいるものの、ITを真の生産性向上につなげるためには、単にコスト削減の手段としてのみ用いるのではなく、業務効率を高めることを目的として、ITを利用した新たな経営手法を導入し、それに必要な組織改革を実行できるかが鍵となる。

こうしたことから、今回の「企業行動アンケート調査」では、我が国企業の経営環境と経営基本方針(第1章)を継続して調査するとともに、「IT投資の実績と計画」(第2章)、「IT化がもたらす新しい経営手法」(第3章)、「企業組織のIT対応」(第4章)の3つの視点から日本企業のIT化の現状と見通しについて調査・分析を行った。

調査要領

調査時期
平成13年1月
調査事項
1.経営環境と経営基本方針、2.IT投資の実績と計画、3.IT化がもたらす新しい経営手法、4.企業組織のIT対応
調査対象
東京、大阪、名古屋の証券取引所第1部及び第2部上場企業のうち、金融・保険業を除く企業(2,270社)
調査方法
所定の調査票による郵送・自計申告方式
回答企業数
1,405社(製造業843社、非製造業562社)
回答率
61.9%

調査結果のポイント

  1. 企業が予想する実質経済成長率は、単年度の見通しで1.3%と4年ぶりに1%台を回復した。中期的な見通しも今後3年間で1.5%(年平均)、今後5年間で1.7%(年平均)と昨年度の値を上回っている。ただし、昨年度の予想成長率からの上昇の度合いはいずれの値についても前年度と比較すると低いものとなっている。設備投資は今後3年間の伸び率で3.6%(年平均)と前回調査の1.7%よりさらに上昇している。輸出企業の採算円レートは、107.0円と2年ぶりにわずかながら下落したものの、調査直前の円レート(12年12月の円レートは112.2円)より円高水準となっている。

  2. 設備投資の総額に占めるIT投資額の割合は、過去3年間では15.2%、今後3年間では18.3%となっている。IT投資比率は非製造業の方が製造業の約2倍と高い。IT投資の内容、過去3年間に比べ、「コンピュータ・周辺機器の取得」や「ソフトウェアの取得」等の割合が今後3年間で低下している一方で、「ソフトウェアの開発」、「システムの運用・開発」は上昇しており、IT投資の内容が高度化していることが分かる。IT投資の目的は、「業務のスピードアップ」が最重点項目であるが、その比率は今後3年間で大きく低下し、他方、「営業・販売力強化」、「組織の効率化等組織改革」、「調達コスト削減」等が大きく上昇している。

  3. ITを利用した情報共有、CRM、SCM等のIT経営手法ともに今後3年間で急速に導入が進む見通しで、特に加工型製造業での導入比率が高くなっている。企業間電子商取引の手段は、従来の個別企業間のものから、今後はインターネットによるものに移行する見通しである。企業間電子商取引の増加の影響は、「価格競争の激化」、「企業間格差の拡大」、「流通過程における中抜き現象」が上位に挙がっている。消費者向け電子商取引の増加の影響は、「価格競争の激化」、「流通過程における中抜き現象」が上位に挙がっている一方、「売上高の増加」、「利益率の向上」を挙げた企業は少ない。

  4. IT化に対応する組織改革は、必要性の高まりに対しあまり行われていない。今後の経営組織の変化は「情報伝達のボトムアップ化」、「情報伝達のトップダウン化」、「組織のフラット化」を中心に大きく進展することが見込まれる。今後の雇用関係は、過去と比べ「能力主義的処遇」、「即戦力・専門性を重視した人材確保」が進展していく見通しである。

結果の概要

  1. 経営環境と経営基本方針

    (1)実質経済成長率の見通し

    我が国企業は、平成13年度の実質経済成長率について、全産業平均で1.3%を見込んでいる。中期的な見通しについては、今後3年間(平成13~15年度)では1.5%(年平均)、今後5年間(平成13~17年度)では1.7%(年平均)を見込んでいる。単年度では4年ぶりに1%台を回復し、今後3年間及び今後5年間の見通しについても昨年度の値を上回っている。ただし、昨年度の予想成長率からの上昇の度合いはいずれの値についても前年度と比較すると小さいものとなっている(第1-1-1図)

    (2)輸出企業の採算円レート

    輸出企業の採算円レートは107.0円/ドルと2年ぶりにわずかながら下落し(前回調査時106.5円/ドル)、調査直前の円レート(12年12月の円レート112.2円/ドル)より円高水準となっている(第1-2-2図(1))

    (3)設備投資の見通し

    今後3年間の設備投資の年平均伸び率は3.6%(製造業3.9%、非製造業3.0%)と前回調査の1.7%(製造業1.9%、非製造業1.4%)よりさらに上昇している(第1-3-1図)

    業種別にみると、「パルプ・紙」、「倉庫・運輸」等が高い伸びを見通している一方で、「電気・ガス」、「海運」、「陸運」は減少の見通しとなっている。また、資本金規模別では、資本金100億円以上の企業以外で伸びが高くなっている(第1-3-2図)

    (4)雇用者数の現状と見通し

    従業員数の変化は、過去3年間では年平均2.7%減(製造業4.0%減、非製造業0.8%減)とマイナス幅の拡大が続いている一方、今後3年間では同0.6%減(製造業1.6%減、非製造業0.8%増)と昨年度に引き続きマイナス幅が縮小する見通しとなっている。過去3年間の2.7%減は、同一の基準で比較できる平成5年以降では最大のマイナス幅である。ただし、非製造業についてはマイナス幅が昨年より縮小しており、今後3年間では4年ぶりに増加に転じる見通しである(第1-5-1図)

    部門別の今後3年間の見通しでは、製造・販売部門は0.1%減と減少傾向にやや歯止めがかかり、管理・企画部門は1.8%減であるが、マイナス幅が縮小している(第1-5-2図)

  2. IT投資の実績と計画

    (1)IT投資額の割合

    設備投資額の総額に占めるIT投資額の割合は、全産業平均で過去3年間は15.2%、今後3年間は18.3%となっている。産業別にみると、過去3年間では、製造業が11.7%であるのに対し、非製造業は20.8%と約2倍である。今後3年間でも、製造業は14.2%、非製造業は24.8%と、非製造業でIT投資比率が高い。非製造業のうち特に卸売業、サービス業で高く、過去3年間ではそれぞれ30.4%、30.0%、今後3年間ではそれぞれ35.7%、34.0%であり、情報仲介業務のウェイトの高い業種の特徴を表している(第2-1-1図)

    (2)IT投資の内容

    IT投資の内容をみると、過去3年間に比べ、「コンピュータ・周辺機器の取得」や「ソフトウエアの取得」等の割合が今後3年間で低下している一方で、「ソフトウエアの開発」、「システムの運用・開発」は上昇しており、IT投資の内容が高度化していることが分かる(第2-2-1図)。これを資本金規模別にみると、過去3年間、今後3年間ともに、IT投資の内容のうち特に上に挙げた「ソフトウエアの開発」や「システムの運用・開発」において、大企業が中堅企業を大きく引き離していることが分かる(第2-2-2図)

    (3)IT関連機器の導入状況

    IT関連機器の導入状況をみると、「パソコン(除携帯型)」、「電子メール」、「LAN」、「インターネット」は7~9割の企業で全社的に導入されている(第2-2-3図)。ただし、これを資本金規模別でみると、IT関連機器の導入状況においては、大企業が中堅企業を全般的に上回っていることがわかる。特に「LAN」、「インターネット」といったネットワーク・インフラに関して、資本金規模が小さい企業ほど導入が進んでおらず、「イントラネット」や、「グループウエア」等の導入比率も資本金規模が小さい企業において低い(第2-2-4図)

    (4)IT投資の対象業務分野

    IT投資の対象業務分野をみると、過去3年間と比べ、「人事・給与」や「会計・経理」を対象とするものが今後3年間に減少する一方、それ以外の分野では増加し、特に「経営企画」、「調達」等、企業の競争力に大きく影響する分野にIT投資がシフトしていく姿がみられる(第2-3-1図)

    (5)IT投資の目的と効果

    IT投資の目的をみると、過去3年間と今後3年間のいずれにおいても、「業務のスピードアップ」が最重点項目であるが、その比率は今後3年間で大きく低下している。また、「人件費の削減」や、「人件費以外の固定コストの削減」についても今後3年間で低下し、他方、「営業・販売力強化」、「組織の効率化等組織改革」、「調達コスト削減」等が今後3年間で大きく上昇している。このことからも、今後は企業が自社の収益力強化等、経営戦略上の積極的な目的でIT投資を行おうとしていることが分かる(第2-3-2図)。ただし、過去3年間におけるIT投資の効果をみると、「業務のスピードアップ」については91.7%の企業で効果が挙がったとしているが、それ以外の項目については、効果が挙がったとする企業はいずれも半数に満たない(第2-3-3図)

    (6)IT投資を進める上での問題点と対策

    企業がIT投資を進める上での問題点についてみると、「IT化を推進する専門的人材が深刻に不足」、「社員のIT活用能力向上のための再教育ができていない」がそれぞれ50.4%、41.9%と上位2つに社員の能力に関わる項目が挙がっている。また、「ITの技術革新のスピードが速すぎてすぐ陳腐化する」、「IT投資の効果がコストに対して見合わない」、「通信料金が高すぎる」もそれぞれ39.5%、35.2%、32.4%と、指摘している企業の割合が高い(第2-3-4図)

    これに対し、問題点解決のための対策についてみると、今後3年間で大きく高まっているものとして「情報システム部門のアウトソーシング」、「IT教育訓練プログラムの強化」、「ASP(注)の活用」が目立っており、不足するIT分野の人材や能力を企業の内外に求める動きが強いことが分かる(第2-3-5図)

    (注)ASP(Application Service Provider)とはサーバや決済システム等の環境を提供し、その保守・運営を引き受ける業者のことを指す。

  3. IT化がもたらす新しい経営手法

    (1)ITを利用した情報共有の状況

    企業経営のIT化を進めていくための業務インフラとして、企業情報の共有化に注目してその動向をみると、「全社共通業務システムの構築」については、「すでに導入済み」または「今後3年間で導入予定」と回答した企業は90.7%となり、「企業全体でのデータベースの統合」については88.5%で、今後企業内での情報共有化の動きがほぼ行き渡ることが予想される。「取引企業間での統合的情報システムの構築」についても、「すでに導入済み」が8.7%であるのに対し、「今後3年間で導入予定」は44.7%で、今後急速に普及していく見込みである(第3-1-1図)

    それぞれについて業種別の数値をみると、いずれも加工型製造業において、「すでに導入済み」と「今後3年間で導入予定」を合わせた値が最も高くなっている。これは部品調達から生産、物流、販売に至る複雑な供給システムを持ち、各部門の最適化に企業の競争力を左右される業種の特徴をよく表している(第3-1-2図)

    (2)IT経営手法の導入状況

    具体的なIT経営手法の導入状況についてみると、「CRM」、「ナレッジ・マネジメント」、「ERP」、「SCM」(注)は「すでに導入済み」がそれぞれ10.4%、14.0%、13.6%、10.3%であるのに対し、「今後3年間で導入予定」はそれぞれ49.3%、55.4%、48.9%、47.7%となり、今後、急速に導入が進んでいく様子が分かる(第3-1-3図)

    (注)IT経営手法に関する各用語の意味は以下の通り
    • CRM(Customer Relationship Management)…顧客データを利用した個別ニーズ毎のマーケティング戦略の策定
    • ナレッジ・マネジメント(Knowledge Management)…業務経験から得た情報を蓄積し、ノウハウの共有、開発を図る
    • ERP(Enterprise Resource Planning)…全社の経営資源をパッケージとして一括管理し、生産、調達、物流等各部門の業務を最も効率的な組み合わせとする
    • SCM(Supply Chain Management)…取引企業間で受発注計画、在庫状況、販売計画等の情報を共有し、企業間全体で業務の最適化を図る

    (3)ITと企業間の情報のやりとり

    企業が電子商取引を行うために必要な情報のやりとりの手段についてみると、「企業間データ交換を電子的に行う」については、78.7%の企業が「すでに導入済み」または「今後3年間で導入予定」と回答している。

    その他の項目についてみると、「企業間の専用通信網を構築」は、「今後3年間で導入予定」の割合が、「すでに導入済み」の割合より小さいのに対し、それ以外の項目では「今後3年間で導入予定」の割合の方が大きくなっており、特に「インターネット上での企業間のデータ交換」については、「すでに導入済み」と「今後3年間で導入予定」を合わせた割合が75.0%になる。これは、企業間のデータ交換手段がインターネットを主流とするものになっていくことを示唆している(第3-2-1図)

    (4)企業間電子商取引の導入状況・予定

    具体的な企業間電子商取引の導入状況及び予定についてみると、「個別企業間での受発注・決済」は、「すでに導入済み」が37.7%、「今後3年間で導入予定」が34.8%となっているが、それ以外の項目については、「すでに導入済み」の割合は5%未満と少ない。企業間電子商取引の形式を「個別取引型(既存の取引関係がある一対一の企業間で取引をする)」と「マーケットプレイス型(多数の売り手と買い手がウェブ上に集まり、条件が合致した当事者間で取引をする)」に大別すると、現段階では、「ネット上競争入札による調達先決定」や「ネット上オークションによる商品売買」等のマーケットプレイス型の電子商取引はまだあまり浸透していないものの、今後3年間では導入の割合が高まっていることから、今後徐々に広まっていくことが予想される(第3-2-2図)

    (5)企業間電子商取引の増加の影響

    企業間電子商取引の増加の影響についてみると、「価格競争の激化」が過去3年間、今後3年間ともそれぞれ52.2%、60.6%と最も高く、次いで「企業間格差の拡大」がそれぞれ36.0%、54.1%と高くなっている。このことから、電子商取引を企業が厳しい競争下における生き残りの条件としてとらえている様子がうかがえる。一方、「売上高の増加」や「利益率の向上」を選択した企業は過去3年間ではそれぞれ14.6%、11.0%と低く、今後3年間では25.9%、24.0%と高まっているものの、その他の影響と比べ相対的に低い数値となっている。

    また、「流通過程における中抜き現象」は、今後3年間では53.7%となり、過去3年間からの上昇幅が最も大きい。「企業提携やM&Aの増加」、「長期継続的取引の減少」、「外部企業との水平分業の増加」についても、値は小さいものの今後3年間で大きく高まり、企業間電子商取引の増加の影響は、中間業者の役割を低下させるにとどまらず、企業間の取引関係全体に変化を生じさせることをうかがわせる(第3-2-3図)

    (6)消費者向け電子商取引の導入状況・予定

    消費者向け電子商取引(B to C EC)の導入状況及び予定をみると、まず「自社ホームページによる商品・サービスの紹介」については「すでに導入済み」と「今後3年間で導入予定」を合わせると92.0%となり、ほとんどの企業でホームページを販売促進に利用していることが分かる。「インターネット広告」や「インターネット直販」については、「すでに導入済み」、「今後3年間で導入予定」を合わせた割合は4割強となり、その他については3割に満たない結果となっている(第3-3-1図)

    (7)消費者向け電子商取引の増加の影響

    消費者向け電子商取引の増加の影響をみると、「価格競争の激化」が過去3年間、今後3年間でそれぞれ48.5%、58.5%と最も高く、次いで「流通過程における中抜き現象」がそれぞれ38.5%、55.9%となっている一方、「売上高の増加」、「利益率の向上」はそれぞれ比較的低い割合にとどまっている。

    また、「企業間格差の拡大」は、過去3年間が31.7%であったのに対し、今後3年間では53.7%となっており、消費者向け電子商取引の増加が、流通の合理化等、産業構造の変化をもたらす可能性を示している(第3-3-2図)

    一方、「インターネット直販」について「すでに導入済み」と回答した企業のみで過去3年間における影響について平均をとったものをみると、「売上高の増加」や「利益率の向上」について全体の平均を大きく上回る結果になっており、逆に「価格競争の激化」は、全体の平均より低くなっていることが分かる。このことから、インターネット直販を他に先駆けて導入した企業が販売力を高め、価格競争に巻き込まれることを回避しようとしていることがうかがえる(第3-3-3図)

  4. 企業組織のIT対応

    (1)組織改革の実施状況

    過去3年間における組織改革の実行状況をみると、全体で39.5%の企業が組織改革を「行った」と答えている。業種別では、サービス業の50.0%が最も高く、次いで建設(49.3%)、輸送用機器(48.5%)、電気機器(48.2%)となっており、非製造業、加工型製造業が全体の平均より高い割合となった。また、資本金規模の大きい企業ほど組織改革を行った割合が高いことも特徴と言える(第4-1-1図)

    (2)組織改革の必要性の変化

    組織改革の必要性の変化についてみると、過去3年間で必要性が「強まった」または「どちらかというと強まった」と回答した企業は97.0%に上っており、組織改革を「行った」とする企業の割合と比べはるかに高い割合となっている。また、過去3年間で「強まった」と回答した企業の割合は31.7%であるが、今後3年間においては、「強まる」と回答した企業の割合は55.6%となり、組織改革の必要性が今後更に強まる見通しとなっている(第4-1-2図)

    (3)経営組織の変化

    IT化に対応する企業の組織変化の動向を追うと、「情報伝達のボトムアップ化」や「情報伝達のトップダウン化」については、過去3年間に「進展した」または「どちらかというと進展した」と回答した企業はそれぞれ65.7%、59.4%と半数を大きく超え、今後3年間でみるとそれぞれ87.5%、82.9%と、どちらも8割を超える結果となった。「組織のフラット化」についても、今後3年間では「進展する」と「どちらかというと進展する」を合わせて77.2%となり、IT化が企業の上層と末端との距離を縮めることに貢献していることが分かる。

    「組織のフラット化」には及ばないものの、「意思決定の分権化」についても今後3年間で「進展する」と「どちらかというと進展する」を合わせて63.6%となっている。これは、組織の上層と末端が近づきコミュニケーションが容易になることに伴い、意思決定の権限を現場に委任し、より迅速かつ柔軟な組織運営が可能になってくることを示している。「縦割り主義の解消」、「社内労働市場の流動化」、「アウトソーシングの増加」についても、今後3年間で「進展する」と「どちらかというと進展する」を合わせた割合はそれぞれ64.3%、51.2%、70.7%といずれも半数を超え、硬直化した従来型の組織運営がIT化によって解消していくことを見込んでいる。(第4-2-2図)

    (4)雇用関係における対応

    IT化に対応する企業経営の変化のうち、雇用関係の動向に注目すると、過去3年間については、「進展した」と「どちらかというと進展した」を合わせた割合では、「派遣社員やパートの利用」が62.5%で最も高く、ITに関わる人材の不足を外部から補充する動向が強いことを示している。

    「管理・経営部門の人員削減」は57.0%で2番目に高く、4番目に高い「製造・営業部門の人員削減」の46.2%を含め、雇用調整に関わるものが比較的高い割合を示している。

    一方で、今後3年間について、「進展する」と「どちらかというと進展する」を合わせた割合をみると、「能力主義的処遇」が81.4%と最も高くなっている。また、「即戦力・専門性を重視した人材確保」についても、過去3年間で「進展した」と「どちらかというと進展した」を合わせた割合が37.4%であるのに対し、今後3年間で「進展する」と「どちらかというと進展する」を合わせた割合は74.9%と大幅に伸びている。このことは、経営環境の変化の中で、企業が組織内の人的資産の再構成を進めていくことによって、より戦略的にITを自社の競争力につなげて行こうとする姿を予想させるものである(第4-3-1図)

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