平成17年度調査:企業行動に関するアンケート調査(平成18年(2006年)4月25日公表)                         「日本企業:持続的成長のための戦略」 Annual Survey of Corporate Behaviors

調査結果のポイント

  1. 今回の調査では、予想実質経済成長率(第1-1-1図)、予想業界需要の実質成長率ともに、前年度調査を上回った。また、製造業における設備投資の伸びも平成2年度調査以来の高い伸びとなった(第1-4-1図)。今後3年間における利益や調達した資金の使途としても、設備投資の重要度が最も高いと回答している。雇用者数については、15~17年度の3年間における増加率がプラスに転じ、今後3年間はさらに増加する見通しとなっている(第1-5-1図第1-5-2図)。このほか、8割の企業で在庫が適正と答え、7割の企業で、今後3年間、売上高、経常利益が上昇すると答えている。

    以上のように、過剰設備、過剰雇用等、バブル後の負の遺産が概ね処理されていることなどを背景に、我が国企業が中期的に積極的な見通しを立てている様子がうかがわれる。

    企業は、1年後の為替レートを113.2円/ドルとみており、調査直前月の為替レートに比べ、円高を予想している。なお、輸出企業の採算レートは104.5円/ドルであり、実際の為替レートが採算レートよりも円安になっている状況は、輸出企業の収益に寄与している(第1-2-2(1)図)

  2. 今後の企業戦略では、新商品の開発、商品の差別化、現地需要に応じた海外生産拠点の整備などによって成長を持続させようとしている。

    まず、製(商)品について、販売価格は概ね現状を維持しつつ、新商品の開発、商品の差別化による売上げの増加を図るとしており(第2-3-2図)、その際の企業の競争力の主な源泉は、品質・技術力および顧客ニーズへの対応であるとしている(第3-1-1図)

    資金の調達については、民間金融機関からの借入、収益改善を背景とする内部資金の2つを重視している。利益及び調達資金の使途としては設備投資、株主への配当などで重要度が増加し、有利子負債の圧縮で減少している(第3-2-4図)。産業別では、製造業で研究開発を重視し、非製造業で従業員の処遇改善を重視している(第3-2-5図第3-2-6図)。

    グローバルの視点から見ると、海外現地生産を行う企業の割合、海外現地生産比率はいずれも増加傾向にある。

    海外に生産拠点を置く理由としては、現地の製品需要に対応することを理由とするものが最も多く、この傾向は素材型製造業で強くなっている(第1-6-7図)。地域別にみると、北米・EU、中国を重視する企業で、現地の製品需要に対応することを理由とするものが最も多いが、北米・EU、中国以外を重視する企業では、良質で安価な労働力の確保を理由とするものが最も多い(第3-4-1表)

    また、今後3年間における輸出市場、生産拠点の進出先、国内外の市場の競争相手等、いずれの項目においても、中国の重要度は、北米、EUなどを上回ると回答している。今後の日本経済を見通す上で、中国経済の動向に注意する必要がある。

  3. 今後3年間、企業は成長を見込んでいるが、この見通しに影響を及ぼすリスクについては、原材料の価格変動等に関するリスクとの回答が約半数と最も多く、原油価格等の動向が今後の企業経営に影響するとしている。また、製造業では、商品開発戦略(新製品の成否)に関するリスク等、非製造業ではコンプライアンスに関するリスク等の回答が多かった(第3-3-2図)

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