平成18年度調査:企業行動に関するアンケート調査(平成19年(2007年)4月20日公表)                         「団塊世代の退職の雇用への影響」 Annual Survey of Corporate Behaviors

特集調査の趣旨

我が国では、2007年に団塊世代の第一陣が60歳の定年という人口動態上の大きな節目を迎え、企業の雇用政策上も熟練労働力の退職とこれを代替する労働力の確保という大きな課題に直面している。

現在、マクロ経済の動向をみると、平成14年1月を谷とする景気の長期拡大が続いており、雇用情勢の改善には広がりがみられる。

一方、90年代後半から行った不況時の対応(正社員のリストラ、新規採用の抑制、非正規雇用比率の上昇等による人件費削減)により、若年層でなお高い完全失業率、中堅層の人材不足、「外部労働力活用によりノウハウの蓄積・伝承が難しくなる」などの企業の雇用政策上の諸課題が生じている。

そこで、本調査では特集として、このような企業の雇用政策上の諸課題と関連して、団塊世代の退職が雇用に与える影響について把握することとした。

調査結果の構成

第1章では、従来からの調査を継承して、我が国の企業の経営環境と経営基本方針として、景気・需要、為替レート、仕入価格・販売価格の見通し、設備投資、雇用、海外現地生産の状況及び見通しを調査した結果をまとめている。

第2章では、特集として「団塊世代の退職の雇用への影響」を把握するため、貴社の業況、売上高・経常利益等の動向に加え、団塊世代の割合、雇用の不足感・過剰感、団塊世代の退職による影響、雇用者の増加が見込まれる年齢層、職種別・雇用形態別の雇用動向、団塊世代の雇用者の年金支給開始年齢までの雇用方針について調査した結果をまとめている。

調査結果の概要

  1. 上場企業の我が国経済についての今後の見通しをみると、今後3年間(19~21年度)或いは5年間(19~23年度)の予想実質経済成長率、予想名目経済成長率は、それぞれ2.1%(前年度調査1.9%)、1.7%(同1.6%)と前年度調査を上回った。名目は実質を前年度調査に引き続き下回った(第1-1-1図第1-1-1表)。業界需要の今後の見通しについても同様に、予想実質成長率、予想名目成長率とも前年度調査を上回り、名目が実質を引き続き下回る傾向となっている(第1-1-2図第1-1-2表)。

    1年後の予想円レートについては、全産業平均で115.5円/ドルと調査直前月の117.3円/ドルに対してはやや円高、前年度調査結果113.2円/ドルに対してはやや円安の結果となっている。一方、輸出企業の採算円レートについては、106.6円/ドルと前年度104.5円/ドルよりも円安方向に変動し、現実レートとの差は縮小している(第1-2-1図第1-2-2(1)図)。

    1年後の平均仕入価格は、前年度調査同様上昇が予想されているが、平均販売価格は、変化幅は僅かながら前年度調査のマイナスからプラスへと転じた(-0.2%→0.2%)。但し、交易条件の変化は前年度調査とほぼ同程度のマイナスと予想されている(第1-3-1表)

    今後3年間(19~21年度)の設備投資の見通しについては、全産業平均で5.3%と前年度調査の5.9%に比べ伸び率が低下(5年振り)した(第1-4-1図)

  2. 国内と海外の生産の組み合わせについては、海外現地生産を行う企業の割合は、17年度実績が63.2%と前年度調査の17年度実績見込み(60.4%)及び16年度実績(59.6%)を上回った。しかし、18年度実績見込み62.8%、23年度見通し62.4%と前年度調査結果の上方趨勢と異なり、海外現地生産を行う企業の割合が低下する見通しとなった。

    一方、海外現地生産比率を見ると、17年度実績15.2%(前年度調査実績見込み14.8%)、18年度実績見込み16.1%、23年度見通し17.3%といずれも前年度調査を上回る結果となった。

    産業別には、加工型製造業は、海外現地生産比率が上昇、海外現地生産を行う企業の割合が横ばいで推移するのに対し、素材型製造業は、海外現地生産比率が上昇する一方、海外現地生産を行う企業の割合が低下する見通しとなっている(第1-6-1図第1-6-2図)。これらを総合して考えれば、既に現地生産を行っている企業の海外現地生産比率の上昇が進む一方、特に素材型製造業において、海外現地生産を取り止める企業が出てくるなど二極化が進む可能性があると考えられる。

    逆輸入比率(海外現地生産に占める日本向け輸出の割合)については、17年度実績が26.1%と前年度調査結果(16年度実績22.6%、17年度実績見込み22.7%)を上回ったが、18年度実績見込み25.5%、23年度見通し25.7%と概ね横ばいの推移が見込まれている(第1-6-4図)

    日本企業が国内に生産拠点を置く理由としては、「利用している技術が高度で、海外生産が困難だから」が24.6%と前年度調査同様最も多く、次いで「少量多種生産等の国内の需要に応じた対応が可能だから」となっている。また、素材型製造業で「既存の生産設備を利用した方が、コストが安く済むから」が大きく低下している(第1-6-1表)

    一方、日本企業が海外に生産拠点を置く理由としては、「良質で安価な労働力が確保できるから」が35.4%(前年度調査34.0%)と最も多く、次いで「製品需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれるから」が33.0%(同39.9%)と、前年度調査と比較すると順位が入れ替わったが、産業別にみると、素材型製造業は前年度調査と同様に、「製品需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれるから」が最も多く37.6%となっている(第1-6-7図)

  3. 以下では、団塊世代の退職の雇用への影響についてみていく。過去及び今後の企業の雇用動向についてみると、過去3年間、今後3年間ともに雇用者数は前年度調査を上回る高い伸びとなるなど、企業の雇用動向は、極めて堅調な動きとなっている。

    過去3年間については、年度平均1.5%増、産業別にみると製造業1.3%増、非製造業1.8%増となっている。今後3年間の見通しについては、年度平均2.3%増、産業別にみると製造業1.9%増、非製造業2.9%増となっている(第1-5-1図第1-5-2図)。

    経常利益、売上高、人件費の動向をみると、今後3年間の売上高、経常利益が「増加する」とみる企業の割合が「減少する」とみる企業の割合を大きく上回り、企業業績の改善が予想されている。人件費については、「増加する」とみる企業と「減少する」とみる企業の割合の差は、売上高、経常利益に比較するとプラス幅が小さいものの、前年度調査と比較すると10%ポイント近い大幅な拡大となっている(第2-2-1図)

  4. 団塊世代の割合についてみると、「0%以上5%未満」の企業が43.7%、「5%以上10%未満」が37.1%、「10%以上15%未満」が13.7%、「15%以上」が5.4%となっており、平均(中央値)は6.4%となっている。これを産業別にみると、製造業は7.1%、非製造業は5.5%である。業種別では、石油・石炭製品9.5%、倉庫・運輸関連業9.1%、ゴム製品8.8%、鉄鋼8.7%、建設業8.6%などが高いのに対し、銀行業3.1%、情報・通信業3.5%、小売業3.6%などが低くなっている(第2-3-1図)

    雇用の不足感・過剰感については、好調な企業の業況、今後の売上、収益見通しの改善を受けて、全体的に不足感が強い状況にある。特に非製造業では不足感が強い。業種別にみると、「不足している」と回答した企業と「過剰である」と回答した企業の割合の差はゴム製品75.0%ポイント、非鉄金属70.6%ポイント、情報・通信業68.0%ポイント、不動産業65.0%ポイントなどで大きく、不足感が強いのに対して、石油・石炭製品−60.0%ポイント、パルプ・紙−7.7%ポイント、電気・ガス業−5.6%ポイントなどでは小さく、過剰超となっている(第2-4-1図)

    また、業況感の良好な企業ほど雇用の不足感も強いとの相関がみられる(第2-4-2図)

    雇用の不足感・過剰感と団塊世代の割合との関係をみると、団塊世代の割合が15%以上の企業については、15%未満の企業に比較して不足感が小さく、過剰感が大きいことが分かる(第2-5-1図)

    団塊世代の退職による影響については、全産業では約6割の企業が「影響なし」としているものの、製造業では42.8%、特に加工型製造業では48.5%と約5割の企業が「不足感が強まる」としている(第2-6-1図)

    また、業種別にみると、「影響なし」と回答した企業の割合が高いのは、電気・ガス業94.4%、情報・通信業92.0%、海運業87.5%、不動産業85.0%などであるのに対して、「不足感が強まる」と回答した企業の割合が高いのは、ゴム製品62.5%、石油・石炭製品60.0%、機械57.0%、非鉄金属52.9%などである(第2-6-2図)

    雇用の不足感・過剰感との関係では、現状が「過剰である」企業では、団塊世代の退職の影響としては「過剰感が解消する」が最も多く、現状が「不足している」企業では、「不足感が強まる」が最も多く、現状が「適正である」企業では、「影響なし」が最も多くなっている(第2-6-3図)

    団塊世代の割合との関係では、団塊世代の割合が高い企業ほど、「不足感が強まる」及び「過剰感が解消する」が多くなり、団塊世代の割合が低い企業ほど「影響なし」が多い(第2-6-4図)

    団塊世代の退職による影響と企業の業況予測との関連は薄いとみられる(第2-6-5図)

    雇用者の増加が見込まれる年齢層については、正社員では8割以上の企業が20歳代以下の増加を見込む一方、正社員以外の従業員では、20歳代以下が最も多いものの約5割にとどまり、60歳代以上の増加を見込む企業の割合が12.1%と、正社員の1.6%に比べかなり高いのが特徴的である(第2-7-1図第2-7-2図)。団塊世代の割合が15%以上の企業については、正社員では40歳代、正社員以外の従業員では30歳代の増加を見込む企業が多くなっている(第2-8-1図第2-8-2図)。

    雇用の増加が見込まれる職種は、「専門知識・技術を有する業務従事者(経理・法務・財務・研究開発など特定分野の専門家)」が45.2%、「現場などで高度な技能を有する人材(技能工など)」が29.8%、「現場などで定型的業務に従事する人材(単純工など)」が13.6%、「定型的業務従事者(事務)」が7.6%、「管理職」が3.8%となっている。これを産業別にみると、製造業では「専門知識・技術を有する業務従事者(経理・法務・財務・研究開発など特定分野の専門家)」が最も高く、非製造業では「現場などで高度な技能を有する人材(技能工など)」が最も高くなっている。また、「定型的業務従事者(事務)」については、製造業4.1%に対して、非製造業が12.3%と高くなっている(第2-9-1図)

    団塊世代の割合が15%以上の企業では、「現場などで高度な技能を有する人材(技能工など)」が高くなっているのが特徴的である(第2-9-2図)。雇用形態でみると、「専門知識・技術を有する業務従事者(経理・法務・財務・研究開発など特定分野の専門家)」、「現場などで高度な技能を有する人材(技能工など)」、「管理職」では正社員、「現場などで定型的業務に従事する人材(単純工など)」、「定型的業務従事者(事務)」では正社員以外を活用する傾向となっている(第2-10-1図)

    団塊世代の雇用者の年金支給開始年齢までの雇用方針としては、「雇用希望者に対して、契約社員、パートタイム・アルバイトなどとして雇用」が最も多くなっている(第2-11-1図)

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