用語の解説

※分りやすい説明を目的としたものであり、正確な定義ではありませんので、利用する際にはご注意ください。

景気動向指数

生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感な指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された統合的な景気指標をいい、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)がある。

コンポジット・インデックス(CI)

採用系列の前月と比べた変化の大きさを合成して作成した指数。採用系列には、多くの経済指標の中でも景気に敏感に反応する系列が選ばれる。景気変動の大きさやテンポといった量的側面(量感)を把握できる。

先行指数

景気の動きに対し、先行して動く指標。景気の先行きに対する予測を行うときに参照される。

一致指数

景気の動きに対し、一致して動く指標。景気の現状を把握するのに用いられる。

遅行指数

景気の動きに対し、遅行して動く指標。景気の転換点を確認するものとして利用される。

対称変化率

分母を前月と当月の平均値とした変化率。CIの算出時に用いる。各採用系列の対称変化率を合成したものが、CIの変化率の基礎となる。

四分位範囲

第3四分位点と第1四分位点との差。標準偏差と似た統計量で、同偏差よりも、「外れ値」の影響を受けにくい。CI算出時には、対称変化率の基準化や「外れ値」処理に用いられる。

トレンド

長期的な傾向のこと。CI算出時には、対称変化率の60ヶ月後方移動平均として求める。対称変化率の基準化に用いる。

基準化変化率

CIの算出において、対称変化率から長期的中心であるトレンドを引き、四分位範囲で割って、基準化した変化率。採用系列はそれぞれ変化の振幅が異なり、対称変化率をそのままでは比較・合成できないため、基準化している。

閾(しきい)値

境目となる値。CIの算出時に用いる。閾値×四分位範囲は「外れ値」処理の基準となる。

外れ値

統計に表れた異常値のことであり、不規則変動などが要因の一つ。CI算出時には、「外れ値」の影響を弱めるため、「外れ値」処理を行っている。

外れ値処理

CIの算出において、変化率の「外れ値」を判定し、より小さな変化率に置き換える処置。これによって、「外れ値」が存在した場合でも安定的にCIを算出できる。変化率の大きさが閾値×四分位範囲を超える場合、「外れ値」と判定され、閾値×四分位範囲に置き換えられる。CIの算出はいわゆるウィンザー化平均に近い手法をとっている。

基調判断

移動平均をとることで月々のうごきをならして、CI一致指数の動向について判断したもの。3ヶ月移動平均と7ヶ月移動平均に基づいた「基調判断の基準」に沿って、判断をしている。

改善

基調判断の一つ。景気拡張の可能性が高いことを示す。

足踏み

基調判断の一つ。景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す。

局面変化

基調判断の一つ。事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。

悪化

基調判断の一つ。景気後退の可能性が高いことを示す。

下げ止まり

基調判断の一つ。景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す。

基準年

CIの算出時において、100とする年。CIは合成された変化率の累積値として計算されるが、基準年の平均値で割り、100をかけることで、基準年=100とするCIが計算される。

寄与度

CIの前月からの変化が、CIを合成する個別系列からどの程度もたらされたのかを示した数値。

ディフュージョン・インデックス(DI)

採用系列の各月の値を3ヶ月前と比べた変化方向を合成して作成した指数。変化方向がプラスである系列数の割合をパーセントで示す。採用系列には、多くの経済指標の中でも景気に敏感に反応する系列が選ばれる。景気変動の各経済部門への浸透度、波及度を把握できる。DIもCIと同様に、景気の動きに対し、先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数の3指数がある。

累積DI

毎月公表しているDIの値から50を引いた月々の値を累積したもの。DIの循環的な動向が視覚的にとらえられる。

速報

景気動向指数の速報は、採用系列のうち速報性が高い系列を用いて算出したもの。通常、調査月の翌々月の上旬に公表される。

改訂

景気動向指数の改訂は、各採用系列の確報値や、速報段階では公表されなかった採用系列を用いて、再計算したもの。通常、調査月の翌々月の下旬に公表される。

四半期データの線形補間

採用系列が四半期データである場合、月次のCIを計算するため、四半期に該当している3か月のそれぞれの変化量を等しいものとして、線形補間する。具体的には、4-6月期であれば、6月に四半期値を代入し、4、5月については、4-6月の変化量が全て等しくなるような値を用いる。なお、DI算出には、当該四半期値(3、6、9、12 月の値)を3か月横置きする。

逆サイクル

採用系列が、景気の動きに対し反対の方向に動くこと。

季節調整

経済時系列には、1年を周期として比較的規則正しく繰り返す季節変動が存在するが、こうした季節要因による変動を除去すること。季節調整法には、アメリカ・センサス局で開発されたX11やX12-ARIMA、前年同月比をとるなどの方法がある。景気動向指数の算出においては、景気変動を適切に捉えるために、個別系列において季節調整値が用いられることが多い。

景気循環

資本主義経済で経済活動に見出だされる循環的変動の一つ。景気の拡張期と後退期が交互に現れ、数年を周期として繰り返す。

景気基準日付

主要経済指標の中心的な転換点で、景気の転換点のこと。景気の局面判断や循環ごとの経済活動の比較など、景気の分析を行う上での基礎となる。

景気の山

景気の転換点で、景気が拡張期から後退期に変化するとき。

景気の谷

景気の転換点で、景気が後退期から拡張期に変化するとき。

ヒストリカルDI

個々の採用系列に山と谷を設定し(これを特殊循環日付という)、谷から山にいたる期間はすべて上昇(プラス)、山から谷にいたる期間はすべて下降(マイナス)として、DIを算出したもの。景気基準日付の判定に用いられる。ヒストリカルDIが50%ラインを下から上に切る直前の月が景気の谷、上から下に切る直前の月が景気の山に対応する。

Bry-Boschan法

全米経済研究所(NBER)で開発された分析手法で、個々の採用系列に山と谷を設定する。それぞれの系列に移動平均を段階的にかけながら、山と谷との間隔が5ヶ月以上必要である、一循環の長さは15ヶ月以上必要であるといった経験則を条件として与え、山谷を決定していく。

景気動向指数研究会

内閣府経済社会総合研究所長が主催する研究会。景気の山・谷が決定される他、景気動向指数について様々な議論がなされる。

景気動向指数の改定

経済構造や景気変動パターンの変化に対応して、景気動向指数の採用系列や計算方法を見直すこと。

CI中心の公表形態

平成20年4月分(速報)よりDI中心の公表形態からCI中心の公表形態へ移行し、CI一致指数に基づく基調判断の公表を開始した。

都道府県別景気動向指数

各都道府県(一部地域では、民間団体)で作成している景気動向指数。おおよそ内閣府の景気動向指数作成方法に準拠しながら、採用系列は独自に選択している。

問い合わせ

内閣府経済社会総合研究所景気統計部
電話03-6257-1627(ダイヤルイン)