ESRI Discussion Paper No.355 業務管理とデータ利活用がイノベーションに与える影響 JP-MOPSアンケート調査票による国内卸売業の実証研究
2020年8月
- 藤井秀道
- 九州大学、内閣府経済社会総合研究所客員研究員
- 鷲尾 哲
- 情報通信総合研究所、内閣府経済社会総合研究所客員研究員
- 篠彰彦
- 九州大学、内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官
要旨
本研究では、国内卸売業において、業務管理とデータ利活用への取り組みがイノベーション行動にどう影響しているかを、事業所を対象としたアンケート調査の個票データを用いて実証分析した。分析対象は、内閣府経済社会総合研究所が2018年度に実施したアンケート調査の有効回答2,971事業所である。取り扱う商品の特性を明示的に考慮するため、日本標準産業分類に準拠して、卸売業を(1)繊維・衣料品、(2)飲食料品、(3)建築材料、(4)機械器具、(5)各種商品・その他の事業部門に分類し、製品やサービスの開発・改善への取り組みである「プロダクトイノベーション」と、業務プロセスの開発・改善への取り組みである「プロセスイノベーション」に区分したうえで、順序ロジットモデルにより検証を行った。その結果、卸売業全体では、プロダクトイノベーションとプロセスイノベーションに影響を与える要因が異なっていること、新商品・サービスの開発にデータ分析結果を活用している事業所ほどプロダクトイノベーションが活発に実施されていること、などが明らかとなった。また、事業部門別の分析では、業務管理とデータ利用がイノベーション行動に与える影響が異なっていること、複雑なサプライチェーンの中で流行や気温に左右されやすい商品を取り扱う繊維・衣料品卸売業では有意な関係性がないことが明らかとなった。
- キーワード:イノベーション、業務管理、データ利活用、卸売業、MOPS
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業務管理とデータ利活用がイノベーションに与える影響 JP–MOPSアンケート調査票による国内卸売業の実証研究(PDF形式:888KB)
全文の構成
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1. はじめに:目的と背景2ページ
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2. 先行研究と本研究の位置付け2ページ
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3. 分析枠組みと分析手法4ページ
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4. データセットとその観察5ページ
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5. 順序ロジットモデルによる実証分析8ページ
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6. おわりに:結論と今後の課題13ページ
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参考文献15ページ
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図表一覧17ページ
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補足資料27ページ