ESRI Discussion Paper No.363 退職前後における家計の消費行動の変化

2021年6月
丹後 健人
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科博士前期課程
中園 善行
内閣府経済社会総合研究所主任研究官; 横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科客員准教授

要旨

本研究では、予期された「定年」であっても退職後に消費水準が低下するといういわゆる「退職消費パズル」を検討した。本研究では、退職後には消費水準が2%以上低下すること、また消費水準の低下は少なくとも2年間持続することを発見した。また退職後の支出の動きを財別に分析すると、医師の処方なしで購入できる一般用医薬品等への支出が大きく、特に大卒未満の消費者はこれらの支出を退職前に比べ25%以上減少させていた。本研究ではさらに、消費支出に関するデータと家計の通院回数に関する調査を接続させることで、一般用医薬品等への支出が退職後に減少する背景に迫った。分析の結果、大卒未満の家計ほど退職後に通院回数を増加させ、一般用医薬品等への支出を減少させる傾向があることが明らかとなった。この結果は、退職後の機会費用の減少が退職者の通院を促し、退職後は薬局での大衆薬の購入からより割安な処方薬の購入へと消費行動が変化する可能性を示唆している。


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  • 1. Introduction
    page2
  • 2. Existing Literature on Healthcare Consumption at Retirement
    page4
  • 3. Data and Estimation Strategy
    page5
  • 4. Expenditure at Retirement: Estimation Results
    page7
  • 5. Disentangling Price and Quantity Declines
    page10
  • 6. Cause of Falling Expenditure on Healthcare Products at Retirement
    page12
  • 7. Conclusion
    page16