ESRI Discussion Paper No.383 感染予防行動の促進・維持要因について
2023年7月
- 桑原 進
- 前内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官
- 小塩 隆士
- 一橋大学経済研究所教授
- 中澤 信吾
- 内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官
- 出口 恭子
- 内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官
- 河野 陽介
- 内閣府経済社会総合研究所政策調査員
要旨
コロナウイルス2019に対する感染予防は、ワクチンの開発・接種に加え、マスクの着用や社会的距離の確保などの人々の行動変容が支えた。本稿ではコロナ禍において人々が予防行動を開始し、持続できた要因をウェルビーイングに関する調査を用いて分析した。重回帰分析からは、属性としては女性であること、高齢であること、行動面では通院していること、バランスのとれた食事をしているなどの健康行動を行っていること、かかりつけ医がいること、感染症への不安が存在することが感染予防行動を促進させていたことが分かった。固定効果モデルによる分析によっても、健康行動を行っていること、感染症への不安が存在すること、正規雇用であることが、感染予防行動を促進・維持していることを確認出来た。
データに限界はあるものの、ワクチン接種及び予防行動とコロナウイルス感染経験の有無について分析したところ、ワクチン接種、いくつかの感染予防行動、テレワークの実施は感染率の減少と関係していた。
対処すべき期間が延びた時期において感染予防行動を促進・維持する上では、性別や年齢など属性により行動率が違うことを踏まえ広報等で訴求する対象を絞ることや、かかりつけ医の普及などにより公衆衛生意識、健康意識を高めることなどが有効であると考えられる。
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感染予防行動の促進・維持要因について(PDF形式 2.8MB)
全文の構成
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1 問題意識5ページ
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2 先行研究5ページ
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3 データセットと単純集計結果6ページ
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4 感染予防行動の促進要因の分析15ページ
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5 感染に対するワクチン接種、感染予防行動の効果19ページ
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6 まとめ24ページ
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参考文献26ページ
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参考図表1 属性と感染予防行動の行為者率28ページ
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参考図表2 説明変数に就業状態、学歴、所得を追加した重回帰分析結果43ページ