ESRI Discussion Paper No.392 日本における所得・消費格差の長期的推移:1981年から2021年までの家計調査を基にした分析
2024年4月
- 北尾 早霧
- 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、政策研究大学院大学教授
- 山田 知明
- 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、明治大学商学部教授
要旨
本稿では、1981年から2021年までの日本における経済格差の推移を、家計調査を用いて分析した。この期間において、勤労所得、可処分所得、および消費格差は拡大している。ジニ係数で測った勤労所得格差は0.24から0.29まで上昇しているが、その上昇傾向は単調ではなく、特に1980年代と2000年代前半に顕著な上昇が観察された。一方、可処分所得も同様の動きを示しているが、こちらは2010年代半ば以降に若干の低下傾向を見せている。しかし、消費格差については2010年代半ば以降も緩やかに上昇を続けており、可処分所得と消費格差の動向には違いがあることが明らかとなった。さらに、経済格差をライフサイクルの観点から分析すると、所得格差と消費格差の年齢プロファイルは異なる形状をしている事が確認された。特に、消費支出の年齢ごとのバラツキは支出項目によって著しく異なることを明らかにした。
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全文の構成
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1 Introductionpage2
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2 Datapage4
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3 Inequality Over Timepage12
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4 Inequality Over the Life Cyclepage21
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5 Conclusionpage31
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A Life Cycle Profiles by Cohortspage33
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B Inequalities Over Business Cyclepage33
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Referencespage38