ESRI Discussion Paper No.400 日本における所得・収入・資産格差に関する長期的視点からの考察:1984年~2019年

2025年4月
北尾 早霧
内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、政策研究大学院大学教授
山田 知明
内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、明治大学商学部教授

要旨

本研究は、1984年から2019年までの日本における世帯の労働所得、総所得および資産格差に関する傾向を分析するものである。全国家計構造調査及び全国消費実態調査を用いて分析をしたところ、これら3つの変数すべてにおいて、経済格差は過去数十年にわたり拡大しているが、その要因は異なることが明らかとなった。労働所得および総所得の格差拡大は、主として人口高齢化に起因しており、格差の水準がより高い傾向にある中高齢世帯の割合が増加していることが要因である。一方、資産格差の拡大は全世代において確認されているが、特に若年層において顕著であることが明らかになった。この傾向は、資産保有額が極めて低い(ほとんど貯蓄をもたない)世帯の数の著しい増加に大きく起因している。日本における格差傾向を説明する主要因としては、人口の高齢化、世帯構造の変化、さらにはバブル期とそれに続く長期的な経済停滞などの主要なマクロ経済要因の複合要因が考えられる。


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全文の構成

  1. 1 Introduction
    page 2
  2. 2 Japanese Economy Between 1980 and 2020
    page 5
  3. 3 Data Source and Definition of Variables
    page 10
  4. 4 Analysis
    page 17
  5. 5 Conclusion
    page 40
  6. A Dimensions of Inequality
    page 45
  7. B Adult Equivalent Profiles
    page 47
  8. C Decomposition of Household Wealth
    page 50
  9. D Cohort Profiles
    page 53
  10. E Households with Zero Wealth
    page 54