研究会報告書等 No.91AI・ロボティクス技術の融合が雇用環境へ及ぼす影響の評価手法に関する調査研究報告書(2024年度)

令和7年3月


概要

Michael Webbにより執筆された論文「The Impact of Artificial Intelligence on the Labor Market」(2019) では、米国雇用環境へAIが与える影響について暴露度計算に基づき議論がされている。本業務の目的は、Michael Webb(2019)論文に基づいて、AI・ロボティクス 技術が我が国の雇用環境へ及ぼす影響に関して暴露度を試算することである。この目的を達成するために、Michael Webb(2019)論文で記述されているアルゴリズムを参考にし、国内環境に適した自然言語処理プログラムである日本語解析プログラム MorePhraseExtractorを作成した。そして、職業データベース JobTag (version 3.01 (2023 年 3 月公開) ならびに特許庁から取得した国内特許データ経由を対象にして900万件を超える特許を indexing し、当該プログラムを適用し、AI・ロボティクス 技術が国内雇用環境へ及ぼす影響に関する暴露度スコアの試算を行った。

分析の結果、2004年から2024年にかけて、変化量の大きな職業と変化率の大きな職業があることがわかった。前者には引越作業員、救急救命士、産業廃棄物収集運搬作業員、犬訓練士、石工があり、後者には家政婦(夫)、酪農従事者、産業廃棄物処理技術者、ごみ収集作業員、キャディ、産業廃棄物収集運搬作業員、検察官があった。

今後の課題としては、ウィンドウを用いた時系列分析、そして職業をカテゴリ化した上でマクロ分析を行うことである。

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報告書(目次)

AI・ロボティクス技術の融合が雇用環境へ及ぼす影響の評価手法に関する調査研究報告書(2024年度)

  1. 2
    1. はじめに
  2. 3
    2. 実施概要
    1. 3
      2.1 期間、スケジュール、内容
    2. 4
      2.2 研究会開催履歴
    3. 4
      2.3 有識者
  3. 5
    3. 使用したデータセット
    1. 5
      3.1 日本版O*NET(JobTag)
      1. 5
        3.1.1 日本版O*NET(JobTag)とは
      2. 7
        3.1.2 職業ページ
      3. 11
        3.1.3 タスク記述が欠損している職業
    2. 13
      3.2 特許文献データの収集
  4. 16
    4. 日本版暴露度スコアの算出
    1. 16
      4.1 開発手法
      1. 16
        4.1.1 係り受け解析とルールベースに基づく手法
      2. 18
        4.1.2 MorePhraseExtractorの提案:品詞タグ抽出とルールベースに基づく手法
      3. 19
        4.1.3 その他のキーワード抽出手法
    2. 20
      4.2 提案手法とWebb手法の比較
  5. 21
    5. 日本版暴露度スコア計算システム
    1. 22
      5.1 システム構成
    2. 23
      5.2 ソースコードと利用方法
  6. 28
    6. 算出スコアの評価と分析
    1. 28
      6.1 年代ごとの件数
    2. 67
      6.2 2004年から2024年の変化
    3. 68
      6.3 全職業に関する2004年から2024年の変化
  7. 80
    7. まとめ