第6回GDP速報化検討委員会議事概要

1.日時:平成11年5月14日(金)10:00~12:00

2.場所:経済企画庁官房会議室(729)

3.出席者:

栗林 世委員長、中村 洋一、西村 清彦、舟岡 史雄、大平 純彦、宮川 努、渡辺 源次郎 の各委員

貞広経済研究所長、安原経済研究所次長、土肥原国民経済計算部長、豊田国民支出課長 他

4.議題:

GDP速報化検討委員会報告書(案)について

5.議事内容:

(1)土肥原国民経済計算部長より議題について資料に沿って説明。

(2)説明後、自由討議。委員からの主な意見は以下の通り。

  • 一次QEの投資部分は、従来通り「法人企業統計季報」を使うのか。従来通りならば、暫定値(仮称)との開差が大きくなる。

  • 二次QEは従来あまり関心を持たれていないのに、早期化することを提言する必要があるのか。

  • 試算によれば、暫定値(仮称)と一次QEの符号が逆転する場合があるが、その説明がきちんとできるのか。公表時期の間隔が一カ月しかないので、説明が困難ではないか。

  • 暫定値(仮称)を公表する場合、一次QEの中で、他の期とは推計手法の異なる7~9月期の推計手法を改めるのか。

  • 諸外国の推計体制と比べ人員面で劣る我が国で、従来推計をそのまま維持した上で暫定値(仮称)を推計し、さらに中長期的に生産GDP等の検討も必要であれば、作業面で無理があるのではないか。一次QEを省くなど従来推計について、スクラップ&ビルドの観点で整理し、合理化することも必要と思われる。

  • 設備投資部分について、暫定値(仮称)は物的推計、一次QEは人的推計、そして確報は物的推計ということで連続性がない。推計手法が異なることをいくらアピールしても伝わらず、結局いろいろなトラブルの元になるのではないか。

  • QEを早期化するにあたり、公的部門などの推計について行政関係の記録の遅れが障害となっていることを明記すべき。同じ政府部内のことなので、行政記録を公表の前段階で利用できるようにするなど、何とかできないか。

  • 速報化の第一義に立ち戻れば、「政府最終消費支出」等を省き、景気に敏感に反応する「民間最終消費支出」や「民間設備投資」の部分だけ取り出して公表する方法もある。

  • 表章形式では、国内総資本形成の内訳は出ていないが、その理由をきちんと記述しておく必要があるのではないか。

  • 暫定値(仮称)、速報値そして確報値の関係について、学生にも分かるような簡単な図表等を作り、分かりやすい説明をすべき。

  • 暫定値(仮称)、速報値、確報値の推計には、本来同じ手法を取り続けることが望ましい。それが困難である場合、委員会としては早期化ではなく、暫定値(仮称)とすることもやむを得ない。但し、暫定値(仮称)という名称は議論する必要がある。

  • 暫定値(仮称)の英訳を”advance estimate”とすると、米国の”advance estimate”程度の精度が維持されていると思われないか。

  • EUも40日前後でGDPを公表する計画がある。モデルを使って推計するようだが、世間一般にどのように説明するのか参考にすべき。

  • 現行の一次QE、二次QEを絶対に変えてはいけないと世間一般は考えていない。暫定値(仮称)を公表するのであれば、もう少し暫定値(仮称)、速報値そして確報値の関係を整理すべき。そうしないと、暫定値(仮称)の数値が一人歩きをして、開差のみ注目される。

  • 各需要項目毎に推計精度を記述するよりも、速報値の表章項目をアグリゲートすることで、暫定値(仮称)の推計精度についてインプリシットに伝えてはどうか。

  • 表章項目について個別項目が分からないのに、固定資本形成など括った項目がわかるのはおかしいという人がいると思う。その理由を説明するとともに、統計は分割推計することが難しい場合があることを説明した方がよい。

  • 暫定値(仮称)、速報値というのではなく、イギリスのように「何週目の推計」という名称とするのも一案。

以上

 なお、本議事概要は速報のため、事後修正の可能性がありえます。