平成11年6月調査:法人企業動向調査(四半期)(平成10年3月~16年3月)Business and Investment Survey of Incorporated Enterprises

平成11年8月9日
経済企画庁調査局

法人企業動向調査報告


報告書

調査要領

本調査は、資本金1億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。

調査対象:国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金1億円以上の法人企業(約36,000社)から、経済企画庁が定める方法により選定した4,528社を対象とした。

調査時点:平成11年6月25日

調査方法:調査客体法人の自計申告により行った。

なお、資本金が100億円以上の法人企業については原則として全数調査、100億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。

有効回答率:調査対象法人4,528社のうち、有効回答法人4,309社、有効回答率95.2%


〔利用上の注意〕
  1. 今期3か月の判断とは平成11年1~3月期と比較した場合の11年4~6月期の判断、来期3か月の見通しとは11年4~6月期と比較した場合の11年7~9月期の見通し、再来期3か月の見通しとは11年7~9月期と比較した場合の11年10~12月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。

  2. 第1、3~12図、第1~19表及び付表の11年4~6月以前は今期の判断、11年7~9月は来期の見通し、11年10~12月は再来期の見通しである。

  3. 判断指標(BSI:Business Survey Index)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。

  4. 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。

  5. 季節調整法は、センサス局法2、X-11を用いた。

  6. 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。

  7. 昭和63年3月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等7社、JR関係7社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等7社については60年4~6月期、JR関係7社については62年4~6月期に遡及して集計に加えた。

  8. 平成元年6月調査より消費税を除くベースで調査した。

  9. 平成10年6月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和59年6月調査に遡及して集計を行った。

    (1) 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。

    (2) 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。

    (3) 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。

    (4) 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。

    (5) 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。

    (6) 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。

    (7) 製造業を素材型、加工型に分類。


調査結果の概要

  1. 景気見通し(全産業;季節調整値)
    (1) 国内景気

    企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成11年1~3月「−26」の後、4~6月には「−8」と前期に比べマイナス幅が縮小した。

    その後の見通しは、7~9月「10」、10~12月「17」と改善している。

    産業別にみると、製造業では11年4~6月「−6」、7~9月「11」、10~12月「24」となり、非製造業では11年4~6月「−10」、7~9月「10」、10~12月「15」となっている。

    (2) 業界景気

    所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成11年1~3月「−27」の後、4~6月には「−14」と前期に比べマイナス幅が縮小した。

    その後の見通しは、7~9月「1」、10~12月「7」と改善している。

    産業別にみると、製造業では11年4~6月「−12」、7~9月「5」、10~12月「11」となり、非製造業では11年4~6月「−17」、7~9月「−2」、10~12月「5」となっている。

  2. 需要・価格関連見通し(季節調整値)
    (1) 内外需要(製造業)

    企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成11年1~3月「−26」の後、4~6月には「−10」と前期に比べマイナス幅が縮小した。

    その後の見通しは、7~9月「7」、10~12月「13」と改善を見込んでいる。

    また、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、11年1~3月「−17」の後、4~6月には「−5」と前期に比べマイナス幅が縮小した。

    その後の見通しは、7~9月「6」、10~12月「9」と改善を見込んでいる。

    (2) 在庫水準(製造業)

    自己企業の原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成11年3月末「19」、6月末「17」と引き続き過大感は高い水準となった。しかし、その後の見通しは、9月末「11」、12月末「8」となり、過大感が次第に和らいでいる。

    また、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、11年3月末「29」から6月末の「26」と若干低下するが、過大感は引き続き高い水準となった。しかし、その後の見通しは、9月末「17」、12月末「12」となり、過大感が次第に和らいでいる。

    (3) 価格(製造業、農林漁業、鉱業)

    自己企業の原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成11年1~3月「−17」の後、4~6月は「−2」と持ち直した。その後の見通しも、7~9月「3」、10~12月「−1」となっている。

    また、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、11年1~3月「−30」の後、4~6月は「−23」とマイナス幅が縮小した。その後の見通しも、7~9月「−13」、10~12月「−8」となり、マイナス幅は次第に縮小している。

  3. 経営見通し(季節調整値)
    (1) 売上高(全産業;金融・保険業、不動産業を除く)

    売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成11年1~3月「−19」の後、4~6月には「−11」とマイナス幅が縮小した。

    その後の見通しは、7~9月「0」、10~12月には「5」となり、やや改善が見られる。

    産業別にみると、製造業では11年4~6月「−10」、7~9月「1」、10~12月「8」となり、非製造業では11年4~6月「−11」、7~9月「−1」、10~12月「2」となっている。

    (2) 経常利益(全産業;金融・保険業、不動産業を除く)

    経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成11年1~3月の「−21」の後、4~6月には「−10」とマイナス幅が縮小した。

    その後の見通しは、7~9月「0」、10~12月には「4」となり、やや改善が見られる。

    産業別にみると、製造業では11年4~6月「−7」、7~9月「1」、10~12月「7」となり、非製造業では11年4~6月「−12」、7~9月「−2」、10~12月「1」となっている。

  4. 生産設備見通し(製造業;季節調整値)

    自己企業の生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成11年1~3月「38」の後、4~6月には「36」となり、生産設備の過剰感は引き続き高くなっている。

    その後の見通しも、7~9月「33」、10~12月「29」と若干低下するものの、過大感は引き続き高い水準となっている。

  5. 設備投資の動向(全産業;原数値)
    (1) 半期別動向

    設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成10年7~12月(実績)4.4%減の後、11年1~6月(実績見込み)7.9%減、7~12月(計画)9.4%減の見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業では10年7~12月3.9%減の後、11年1~6月9.6%減、7~12月11.0%減の見通しとなっている。一方、非製造業では10年7~12月4.7%減の後、11年1~6月6.9%減、7~12月8.5%減の見通しとなっている。

    (2) 資本金規模別動向

    資本金規模別に前年同期比でみると、資本金10億円以上の大企業では、平成10年7~12月1.6%増の後、11年1~6月6.2%減、7~12月8.1%減の見通しとなっている。

    一方、資本金1~10億円の中堅企業では、10年7~12月15.5%減の後、11年1~6月11.6%減、7~12月12.3%減の見通しとなっている。

    (3) 暦年の動向

    暦年の動向を前年比でみると、平成10年(実績)3.6%減の後、11年(計画)は8.6%減の見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業では10年0.7%減の後、11年は10.3%減の見通しとなっている。一方、非製造業では10年5.2%減の後、11年は7.7%減の見通しとなっている。

    (4) 四半期別動向(原数値)

    四半期別の動向を前年同期比でみると、平成11年1~3月(実績)の9.6%減の後、4~6月(実績見込み)は5.8%の減少となっている。

    産業別にみると、製造業では11年1~3月の13.7%減の後、4~6月は4.2%の減少となっている。一方、非製造業では11年1~3月の7.2%減の後、4~6月は6.6%の減少となっている。

  6. 海外直接投資の動向(全産業;原数値)

    平成10年度の海外直接投資額(実績)は、約2兆5千億円となり、前年度に比べ8.7%の減少となった。これを産業別にみると、製造業では約1兆8千億円(前年度比8.0%増)、非製造業では約7千億円(前年度比33.6%減)となった。

    また、11年度の海外直接投資額(計画)は、約9千億円の見通しとなっている。これを産業別にみると、製造業では約6千億円、非製造業では約3千億円の見通しとなっている。

    11年度計画におけるの新規案件の投資目的を10年度実績と比べてみると、「投資先国需要向けの生産拠点の設置や拡張」等の割合が増加している。

    また、新規案件の投資地域をみると、「インド等その他のアジア」等で割合が増加する一方、「中国」、「EU」等の割合が減少している。


問い合わせ先

内閣府 経済社会総合研究所景気統計部
電話03-6257-1630(ダイヤルイン)