平成12年3月調査:法人企業動向調査(四半期)(平成10年3月~16年3月)Business and Investment Survey of Incorporated Enterprises

平成12年4月24日
経済企画庁調査局

法人企業動向調査報告


報告書

調査要領

本調査は、資本金1億円以上の法人企業について、設備投資の実績及び計画並びに企業経営者の景気と経営に対する判断及び見通しを調査したものである。

調査対象:国内に本社又は主たる事務所をもって企業活動を営む資本金1億円以上の法人企業(約36,000社)から、経済企画庁が定める方法により選定した4,528社を対象とした。

調査時点:平成12年3月10日

調査方法:調査客体法人の自計申告により行った。

なお、資本金が100億円以上の法人企業については原則として全数調査、100億円未満の法人企業は、層化任意抽出法により選定した法人について調査した。

有効回答率:調査対象法人4,528社のうち、有効回答法人4,160社、有効回答率91.9%


〔利用上の注意〕
  1. 今期3か月の判断とは平成11年10~12月期と比較した場合の12年1~3月期の判断、来期3か月の見通しとは12年1~3月期と比較した場合の12年4~6月期の見通し、再来期3か月の見通しとは12年4~6月期と比較した場合の12年7~9月期の見通しである。ただし、在庫水準と生産設備については、それぞれの調査期間における判断と見通しである。

  2. 第1、3~12図、第1~19表及び付表の12年1~3月以前は今期の判断、12年4~6月は来期の見通し、12年7~9月は再来期の見通しである。

  3. 判断指標(BSI:Business Survey Index)とは「上昇(強くなる・増加・過大)の割合−下降(弱くなる・減少・不足)の割合」である。

  4. 設備投資の公表数値は、母集団推計値である。また、算出基準は工事進捗ベース(建設仮勘定を含む有形固定資産の減価償却前増加額)である。

  5. 季節調整法は、センサス局法2、X-11を用いた。

  6. 集計上の産業分類は、日本標準産業分類を基準とする会社ベースでの主業分類に基づいて行った。

  7. 昭和63年3月調査より、日本電信電話(株)、第二電電(株)等7社、JR関係7社及び電源開発(株)を調査対象に加えるとともに、日本電信電話(株)、第二電電(株)等7社については60年4~6月期、JR関係7社については62年4~6月期に遡及して集計に加えた。

  8. 平成元年6月調査より消費税を除くベースで調査した。

  9. 平成10年6月調査より以下のとおり産業分類の見直しを行い、昭和59年6月調査に遡及して集計を行った。

    (1) 「造船」を「その他の輸送用機械」に合併。

    (2) 「印刷・出版」を「その他の製造業」に合併。

    (3) 「卸売・小売業,飲食店」の内訳を廃止し、「卸売業」と「小売業,飲食店」に分割。

    (4) 「運輸・通信業」の内訳を廃止し、「運輸業」と「通信業」に分割。

    (5) 「電力業」と「ガス業」を合併し、「電力・ガス業」とする。

    (6) 「サービス業」を「サービス業(除くリース業)」と「リース業」に分割。

    (7) 製造業を素材型、加工型に分類。


調査結果の概要

  1. 景気見通し(全産業;季節調整値)
    (1) 国内景気

    企業経営者による国内景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成11年10~12月の「6」から12年1~3月の「4」へと「上昇」超幅が若干縮小した。

    来期及び再来期については、12年4~6月期は増加(「12」)に転じ、7~9月期も「29」と「上昇」超幅が更に拡大する見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業では12年1~3月期「4」、4~6月期「14」、7~9月期「26」となり、非製造業では12年1~3月期「1」、4~6月期「11」、7~9月期「29」となっている。

    (2) 業界景気

    所属業界の景気に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成11年10~12月期「−1」の後、12年1~3月には「−4」と「下降」超幅が若干拡大した。

    来期及び再来期については、4~6月期は「3」と「上昇」超に転じ、7~9月期は「12」と「上昇」超幅が拡大する見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業では12年1~3月期「1」、4~6月期「7」、7~9月期「13」となり、非製造業では12年1~3月期「−7」、4~6月期「−1」、7~9月期「10」となっている。

  2. 需要・価格関連見通し(季節調整値)
    (1) 内外需要(製造業)

    企業経営者による国内需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、平成11年10~12月期「6」の後、12年1~3月期には「2」と「強くなる」超幅が縮小した。

    来期及び再来期については、12年4~6月期は「9」と増加に転じ、7~9月期も「20」と改善が進む見通しとなっている。

    また、海外需要に関する判断指標(BSI:「強くなる」−「弱くなる」)をみると、11年10~12月期「7」の後、12年1~3月期には「10」と「強くなる」超幅が拡大した。

    来期及び再来期については、12年4~6月期「9」、7~9月期「10」とおおむね横ばいで推移する見通しとなっている。

    (2) 在庫水準(製造業)

    自己企業の原材料在庫水準に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成11年12月末「16」の後、12年3月末の「11」と「過大」超幅が縮小した。

    その後も、6月末「8」、9月末「4」と引き続き過大感が改善する見通しとなっている。

    また、完成品在庫水準に関する判断指標をみると、11年12月末「22」の後、12年3月末「18」と「過大」超幅が縮小した。その後も、6月末「12」、9月末「8」と過大感は改善する見通しとなっている。

    (3) 価格(製造業、農林漁業、鉱業)

    自己企業の原材料価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、平成11年10~12月期「6」の後、12年1~3月期は「−13」と「下降」超に転じた。

    来期及び再来期については、4~6月期「−13」、7~9月期「−9」とやや弱含みで推移する見通しとなっている。

    また、製品価格に関する判断指標(BSI:「上昇」−「下降」)をみると、11年10~12月期の「−11」の後、12年1~3月期には「9」と「上昇」超に転じた。

    来期及び再来期については、4~6月期「8」、7~9月期「4」となり、「上昇」超幅は縮小する見通しとなっている。

  3. 経営見通し(季節調整値)
    (1) 売上高(全産業;金融・保険業、不動産業を除く)

    自己企業の売上高に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成11年10~12月期の「−1」の後、12年1~3月期には「1」と「増加」超に転じた。

    来期及び再来期については、4~6月期「7」、7~9月期「7」と引き続き改善する見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業は12年1~3月期「5」、4~6月期「11」、7~9月期「10」となり、非製造業では12年1~3月期「−2」、4~6月期「4」、7~9月期「6」となっている。

    (2) 経常利益(全産業;金融・保険業、不動産業を除く)

    経常利益に関する判断指標(BSI:「増加」−「減少」)をみると、平成11年10~12月期の「−2」の後、12年1~3月期には「−1」と「減少」超幅が若干縮小した。

    来期及び再来期については、4~6月期には「4」と「増加」超に転じ、7~9月期は「7」と改善が進む見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業では12年1~3月期「3」、4~6月期「8」、7~9月期「11」となり、非製造業では12年1~3月期「−3」、4~6月期「1」、7~9月期「3」となっている。

  4. 生産設備見通し(製造業;季節調整値)

    自己企業の生産設備に関する判断指標(BSI:「過大」−「不足」)をみると、平成11年10~12月期「30」の後、12年1~3月期には「26」と「過大」超幅は縮小した。

    来期及び再来期については、4~6月期「22」、7~9月期「21」と「過大」超幅は更に縮小する見通しとなっているものの、依然として比較的高い水準にある。

  5. 設備投資の動向(全産業;原数値)
    (1) 半期別動向

    設備投資の動向を半期別に前年同期比でみると、平成11年度4~9月期(実績)5.9%減、11年度10~3月期(実績見込み)4.3%減の後、12年度4~9月期(計画)6.1%増、10~3月期(計画)15.0%減の見通しとなっている。

    産業別にみると、製造業は11年度4~9月期9.3%減、10~3月期9.4%減の後、12年度4~9月期12.3%増、10~3月期6.9%減の見通しとなっている。一方、非製造業では11年度4~9月期4.0%減、10~3月期1.5%減の後、12年度4~9月期2.9%増、10~3月期19.0%減の見通しとなっている。

    (2) 資本金規模別動向

    資本金規模別に前年同期比でみると、資本金10億円以上の大企業では、平成11年度4~9月期3.8%減、10~3月期4.1%減の後、12年度4~9月期8.7%増、10~3月期は9.4%減の見通しとなっている。

    一方、資本金1~10億円の中堅企業では、11年度4~9月期10.4%減、10~3月期4.7%減の後、12年度4~9月期0.1%減、10~3月期27.6%減の見通しとなっている。

    (3) 年度の動向

    平成12年度の全産業の設備投資計画(当初計画)は、約38兆6千億円となり、11年度(実績見込み)に比べ4.7%の減少が見込まれている。

    産業別にみると、製造業では、約13兆9千億円と、前年度に比べ2.6%の増加が見込まれている。一方、非製造業では、約24兆8千億円と、前年度に比べ8.3%の減少が見込まれている。

    また、資本金規模別にみると、資本金10億円以上の大企業では、前年度に比べ0.5%の減少が見込まれている。このうち製造業では3.3%の増加、非製造業では2.3%の減少が見込まれている。

    一方、資本金1~10億円の中堅企業では、14.3%の減少が見込まれている。このうち製造業では1.2%の増加、非製造業では22.4%の減少が見込まれている。

    (4) 四半期別動向(原数値)

    四半期別の動向を前年同期比でみると、平成11年10~12月期(実績)の2.0%減の後、12年1~3月期(実績見込み)は6.4%の減少となっている。

    産業別にみると、製造業では11年10~12月期が9.3%減、12年1~3月期は9.5%の減少となっている。一方、非製造業では11年10~12月が1.8%増、12年1~3月は4.7%の減少となっている。


問い合わせ先

内閣府 経済社会総合研究所景気統計部
電話03-6257-1630(ダイヤルイン)