第1回国民経済計算に関する説明会(議事概要)

1:日時 平成11年7月30日(金) 14:00~16:00

2:場所 経済企画庁官房会議室(708、709号室)

3:出席者

(1)経済見通しを作成している民間シンクタンク

あさひ銀総合研究所、三和総合研究所、浜銀総合研究所、日本経済研究センター、大和総合研究所、大和銀総合研究所、国民経済研究協会、岡三経済研究所、三菱総合研究所、日興リサーチセンター、ニッセイ基礎研究所、富士総合研究所、東海総合研究所、第一生命経済研究所、さくら総合研究所、日本リサーチ総合研究所、和光経済研究所、住友生命総合研究所、第一勧銀総合研究所、野村総合研究所、日本総合研究所、電力中央研究所

(2)経済企画庁側

経済企画庁長官、経済研究所長、経済研究所次長、総括主任研究官、国民経済計算部長、企画調査課長、国民支出課長 他

4:概要

(1)冒頭、堺屋経済企画庁長官より、多数の出席を感謝し、我が国のSNA統計は世界的にも精度の高いものと自負するが、国民各位の理解を一層深めるため、本説明会を開催することとした旨、等の挨拶。

(2)土肥原国民経済計算部長より、資料に基づき、四半期別国民所得統計速報(QE)の概要、各需要項目の推計方法、暫定値の概要等について説明。
 主に「GDP速報化検討委員会報告書」(以下、報告書)を用いて説明。

 ア)総論

  • 8月の半ば頃に99年1-3月期の2次速報値を公表するという予定だが、1次速報値と2次速報値は使用している基礎統計や推計手法が殆ど同じなため、殆ど結果は変らない。1次

  • 速報値の時点で、全体の95%が基礎統計でカバーできている。

  • 四半期計数については、基本的にコモディティーフロー法によって推計された前年値をベースにして、名目の前年同期比の伸び率を支出接近法で算出し、各需要項目別に推計する。ただし、公的部門については年度ベースの政府の決算書をベースとする財政推計法も活用する。

 イ)民間最終消費支出

  • 民間最終消費支出は、①国内での家計最終消費支出、②居住者家計の海外での直接購入(加算)、③非居住者の国内での直接購入(控除)、④対家計民間非営利団体最終消費支出の各項目について、関連する基礎資料等を基に推計する。

  • その大半を占める国内家計最終消費支出については、消費主体を農家、非農家、単身者世帯に分けた上で、家計調査から1世帯当りの品目別(8目的・43目的別)の支出額を求め、これに世帯数を乗じることによって全世帯の消費支出額を求めるという方法(家計調査法)を主として用いる。具体的には、当該四半期の品目の四半期値=前年同期のコモディティフロー法による四半期値×家計調査法等で求めた四半期値の前年同期比、で算出される。単身者世帯は、それ自体統計がないので、人口5万人以上の勤労者世帯を使って、単身者世帯と見なしている。

  • 総家賃については、SNAで用いる総家賃は帰属家賃を含む、つまり、借家以外の持ち家についても家賃を払っていると見なしており、この家賃分は家計消費の中に含める。家計調査における住宅の設備修繕・維持費は省かれている。

  • 医療・保健については、家計調査では自己負担分のみだが、SNAでは医療保険からの給付分を計上するために、社会保険診療報酬支払基金の「基金統計月報」から診療報酬点数の前年比を用いる。これは公表が遅いデータなので、次のQEの際には、1ヶ月分をトレンド推計する。2次QEでは、全データが採れるため、若干消費が増えることもある。

  • 乗用車購入額は、前年の乗用車の購入額に新規登録台数の前年比を掛け、言わば実質値を推計し、CPIを用い名目値を算出する。
    これは、家計調査ではサンプルが8000世帯ということもあり、計数のブレが大きく出るためである。新規格の軽自動車が出ても、推計方法は変っていない。

 ウ)政府最終消費支出

  • 政府消費については、政府の生産する財・サービスのほとんどが市場価格を有していないため、構成項目(雇用者所得、間接税等)を各々推計し、それを積み上げ、商品・非商品販売を控除し、算出するという形を採っている。その大半を占める雇用者所得は公務員数×1人当り人件費で推計している。
     公務員数については、トレンドで推計しているものもある。商品・非商品販売は殆どが家計にまわるものであり、国公立病院の受診料や国公立学校の授業料といったものがある。間接税は年度値を4分割している。

  • 93SNAになると、現在計上されていない道路等の社会資本に関する資本減耗が新たに計上されることになり、政府消費全体が大きくなる。95年の名目では、約10兆円の資本減耗増と見ている。

 エ)総固定資本形成

  • 民間住宅については、「建築着工統計」の着工額を用い出来高ベースに転換している。この計数から、別途推計する公的分を除き、民間住宅投資を算出する。平均工期は3~9ヶ月で完成すると見ている。なお、居住産業併用建築物については、7割分を居住用と見ている。昨年度後半は、経済対策等の影響により公的住宅の部分がかなり伸びても、民間住宅には含まれない。

  • 民間企業設備については、非金融法人企業、金融法人企業、個人企業それぞれについて各種統計を用いて推計するが、シェアとしては非金融法人企業が主であり「法人企業統計季報」に拠るところが大きい。

  • 公的固定資本形成については、まず、年度予算現額を推計し、当該年度の予算が、補正予算などを含めてどれくらいか、を四半期毎に把握する。地方分については「地方公共団体消費状況等調査」を用いる。次に翌年度への繰越見込額を推計し、年度決算見込額へ転換する。これを四半期分割して最終的に計数を算出する。

 オ)在庫品増加

  • 民間在庫品増加については、原則として「法人企業統計季報」を使用する。これは、簿価ベースのものなので、SNAの時価ベースにするために在庫品評価調整を行う。

 カ)財貨・サービスの輸出入

  • 財貨・サービスの輸出・輸入の推計については、主として、国際収支表を用い、建設や特許等を組み替えて推計する。実質化する際には、各種物価指数を基に、商品群別にデフレーターを作成する。

 キ)

QEの計数表については、名目・原系列(第1表)が作成され、これを実質化する(第3表)。
デフレーターはインプリシット・デフレーターであり、例えば消費については43目的別に、輸出入については8から10の商品群別に各種物価指数からデフレーターを作成し、実質化している。これらの計数を原則、需要項目毎に予定季節指数を積み上げ、季節調整系列が得られる(第2・4表)。

 ク)

暫定値については、1次速報値との開差が過去3年で0.7%程度と大きく、開差に対する寄与度では、総固定資本形成が大きく出ている。
その原因は、法人企業統計季報が使用できず出荷指数を用いていること、公共工事の出来高の2ヶ月分しか利用できないことなどから公的固定資本形成に影響していることが挙げられる。7-9月期については、季節調整替えが行われる関係で、開差が特に大きくなる。6月10日に1次QEと併せて公表した99年1-3月期の暫定値についても、実質前期比が1次QEのプラス1.9%に対し、0.7%と大きな開差が出ている。暫定値は1年くらい試行期間を置いて様子を見、この間は1次QEと併せて公表していく。

以下は説明後の質疑応答の概要。

 【Q】

  • 民間最終消費支出の推計について、①世帯数をどのようにとっているのか。②実質値の推計の際、品目別に実質化しているのか。その場合、それぞれのデフレーターをどのように作成しているのか。

 【A】

  • 資料「民間最終消費支出の動向について」に基づき、世帯数の影響等について説明。

  • 実質化については、各品目毎に実質化し積み上げる。その際用いるデフレーターはCPIが中心。

  • CPIとの違いとしては、SNAのデフレーターはパーシェ型を採っていること、民間最終消費支出は帰属家賃部分等のウェイトが高いといったことがある。

 【Q】

  • 自動車について、普通、軽、大型とあるが、現実には伸びているのは軽のみであり、残りは落ちている。自動車の伸びが1-3月期の民間最終消費支出の押し上げ要因になっているとの説明は実感とはそぐわないのではないか。

 【A】

  • ご指摘のように、過大である可能性もあるが、額的には、さほど大きくないと思われるし、過小になっている可能性もある。さらに新規格の軽は単価が上昇している。

 【Q】

  • 世帯数は1%程度伸びているということだが、具体的にはどのような統計からとっているのか。

 【A】

  • 世帯数については、農家、非農家、単身世帯ごとに、農業センサス、労働力調査等から推計を行っている。四半期毎にデータがとれないところはトレンドで推計。

 【Q】

  • デフレーターの作成方法を詳しく教えていただけないか。具体的には、輸出入のサービス部分のデフレーターに何を使っているのか。

  • 季節調整期間はどれくらいか。

 【A】

  • 輸出入のサービス部分のデフレーターについては,日銀のCSPIを基本的に利用している。

  • 季節調整期間については、統計のある昭和30年から。

 【Q】

  • 公共事業について、決算見込み額を利用しているとのことだが、どのように四半期毎の値を推計しているのか。また、QEを発表した段階で数値がわかるようにしてほしい。

 【A】

  • 確報との差が大きくならないようにヒアリングを加味して、四半期毎に年度の決算見込み額を推計している。

  • 推計の際、「地方公共団体消費状況等調査」を用いている。

 【Q】

  • 「地方公共団体消費状況等調査」という統計はどこで行っているのか。一般的に利用可能なものなのか。

  • 自動車購入の家計向け比率の出し方を具体的に教えてほしい。これは安定的な推移をしているのか。

 【A】

  • 「地方公共団体消費状況等調査」は経済企画庁で行っている。金額ベースで全地方公共団体の約半分をカバーしている。この統計は公表しないという前提で収集している。

  • 前年値を作成する確報推計のコモディティー・フロー法において家計向け配分率等が考慮されている。

 【Q】

  • 「誰でも作れる」ということだが、公表されていないもの(例えば、農家・非農家の数字、地方公共団体消費状況等調査など)もある。これらの公表を今後どのように考えているのか。

 【A】

  • 一次統計であれば、プライバシーの問題等、公表・非公表の区別がつけやすい。

  • GDPは2次統計であり、適切なデータ公表のあり方を模索している。

  • 5月の報告書では、アメリカの公表内容にならって、よりわかりやすく推計手法を公表させていただいた。公表後には検証できるという形で手法を公表する必要があると考える。今の段階では対応できていると考える。

  • 「地方公共団体消費状況等調査」については、相手方である地方公共団体の都合もあり、非公表を前提に調査をしている。

  • GDPは公共財であり、今回お出しした推計方法でもって、各機関で検証をしてみてほしい。そうした中で何がクリティカルにさらに必要かといった情報を判断していただきたい。こうしたことを見て、我々としても公表のあり方を判断していきたい。

 【Q】

  • 民間最終消費支出の目的別がどうなっているのかをみたい。特にサービスの内訳はどのようになっているのか。一部報道でサービスが押し上げ要因だったとされていたが、実際に資料「民間最終消費支出の動向について」を見るとそうなっていない。どの部分が大きく寄与しているのか。

 【A】

  • 耐久財、半耐久財、非耐久財、サービスの4形態について、それぞれ季節調整して全体を積み上げているわけではないので、一概には申し上げられないが、前年比で見たマイナス幅が縮小しているという点等から判断してサービスが伸びている可能性が大きい。具体的には、単身世帯は、人口5万人以上の勤労者世帯で推計しているという影響も受けているかもしれないが、例えば通信等が伸びたのではないかという印象。

(3)土肥原国民経済計算部長より、資料に基づき、93SNA移行の趣旨、主な改訂内容等について、資料「我が国国民経済計算の93SNAへの移行について」に基づき説明。

  • 国連において20数年ぶりにSNA体系が改訂され、加盟各国に勧告された。我が国では国民経済計算調査会議において数年かけて93SNA移行について検討。

  • 平成7年基準改訂とあわせ、来年10月を目途に移行を図る。推計期間は原則として平成2~10年度とする。遡及推計は別途行う。
     主要系列表1については、昭和55年以降を暫定推計する。QEについては、2000年12月に出る7-9月期分から93SNA体系に変る。

  • 改訂の全体的特徴としては、①無形固定資産等の新たな概念の導入、②制度単位等の定義・区分の見直し、③資金循環統計等他の統計との整合がある。

  • 勘定構造の改訂としては、所得支出勘定を段階的に細分化することにより、様々な所得のやり取りが明確化される。また、調整勘定を細分化することによりキャピタルゲイン・ロスが明確になる。

  • 消費概念を最終消費支出と現実最終消費に2元化する。これにより、現在、帰属的に家計の最終消費としている医療費の社会保険からの給付分等が、実際支出している政府の最終消費支出となる。

  • 受注型ソフトウェア等はこれまで中間消費とされていたが、これを無形固定資産として、固定資本形成に計上する。受注型ソフトウェアは95年名目で3兆円強。

  • 一般政府の所有する社会資本について、その耐用年数を有限であるとして、固定資本減耗を計上する。この部分は政府最終消費支出としてGDPに上乗せされる。

 以下は質疑応答の概要。

 【Q】

  • ソフトウェアの推計方法について教えてほしい。

  • 来年10月にどういった計数を出すのか。

  • QEの公表日の公表はもっと事前にならないか。

 【A】

  • ソフトウェアは、特定サービス産業実態調査(通産省)や産業連関表を使用する。

  • 来年10月に公表する計数の内容については、詳しくはホームページ等で公表している「93SNA移行に伴う表章形式」を参照していただきたい。推計期間は平成2から10年度までだが、主要系列表1は昭和55年まで暫定推計を行う。

  • QEの公表日は、大蔵省の法人企業統計季報の公表2日後であり、この統計自体、公表日を一週間前に公表しているという事情がある。基礎統計の早期化については、動向把握早期化委員会等の報告を受け、各省に働きかけている。

 【Q】

  • 来年10月に98年度まで新基準に改訂するとのことだが、年末に経済見通しを作成するに当たって、99年度や直近の計数が必要になる。この辺はどうなっているのか。

 【A】

  • 資料をお渡しする。原則としては過去の基準改訂と同様の扱いである。

(以上)

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