第2回国民経済計算に関する説明会(議事概要)

1.日時平成11年8月2日(月)14:00~16:00

2.場所経済企画庁官房会議室(708, 709号室)

3.出席者

(1)民間企業の調査部等に所属する専門家(以下は機関名のみ)

日興ソロモン・スミス・バーニー証券、モルガンスタンレー証券、ゴールドマンサックス証券、INGベアリング証券、パリバ証券、さくら証券、国際証券、日本興行銀行、東京三菱銀行、さくら銀行、住友信託銀行、朝日生命保険、富国生命保険、明治生命保険、経団連、全国信用金庫連合会総合研究所、京都総合経済研究所、社会基盤研究所、農林中金総合研究所、第一勧業アセットマネジメント、ムーアキャピタルマネジメント、旭リサーチセンター、住友ライフインターナショナルインベストマネジメント、太陽投信信託、あさひ東京投信、さくら投信投資顧問、新日本証券調査センター、日本経済新聞社、東洋経済新報社、東経リサーチセンター、トヨタ自動車、トヨタファイナンス、三井物産貿易経済研究所、興銀システム開発、伊勢丹研究所、日本自動車工業会

(2)経済企画庁側

経済研究所長、経済研究所次長、総括主任研究官、国民経済計算部長、企画調査課長、国民支出課長 他

4:概要

(1)冒頭、貞広経済研究所長より挨拶。

(2)土肥原国民経済計算部長より、資料に基づき、四半期別国民所得統計速報(QE)の概要、各需要項目の推計方法、暫定値の概要等について説明。主に「GDP速報化検討委員会報告書」(以下、報告書)を用いて説明。

 ア)総論

  • 8月の半ば頃に99年1-3月期の2次速報値を公表するという予定だが、1次速報値と2次速報値は使用している基礎統計や推計手法が殆ど同じなため、殆ど結果は変らない。1次速報値の時点で、全体の95%が基礎統計でカバーできている。
  • 四半期計数については、基本的にコモディティーフロー法によって推計された前年値をベースにして、名目の前年同期比の伸び率を支出接近法で算出し、各需要項目別に推計する。ただし、公的部門については年度ベースの政府の決算書をベースとする財政推計法も活用する。

 イ)民間最終消費支出

  • 民間最終消費支出は、①国内での家計最終消費支出、②居住者家計の海外での直接購入(加算)、③非居住者の国内での直接購入(控除)、④対家計民間非営利団体最終消費支出の各項目について、関連する基礎資料等を基に推計する。
  • その大半を占める国内家計最終消費支出については、消費主体を農家、非農家、単身者世帯に分けた上で、家計調査から1世帯当りの品目別(8目的・43目的別)の支出額を求め、これに世帯数を乗じることによって全世帯の消費支出額を求めるという方法(家計調査法)を主として用いる。具体的には、当該四半期の品目の四半期値=前年同期のコモディティフロー法による四半期値×家計調査法等で求めた四半期値の前年同期比、で算出される。単身者世帯は、それ自体統計がないので、人口5万人以上の勤労者世帯を使って、単身者世帯と見なしている。
  • 総家賃については、SNAで用いる総家賃は帰属家賃を含む、つまり、借家以外の持ち家についても家賃を払っていると見なしており、この家賃分は家計消費の中に含める。家計調査における住宅の設備修繕・維持費は省かれている。
  • 医療・保健については、家計調査では自己負担分のみだが、SNAでは医療保険からの給付分を計上するために、社会保険診療報酬支払基金の「基金統計月報」から診療報酬点数の前年比を用いる。これは公表が遅いデータなので、次のQEの際には、1ヶ月分をトレンド推計する。2次QEでは、全データが採れるため、若干消費が増えることもある。
  • 乗用車購入額は、前年の乗用車の購入額に新規登録台数の前年比を掛け、言わば実質値を推計し、CPIを用い名目値を算出する。これは、家計調査ではサンプルが8000世帯ということもあり、計数のブレが大きく出るためである。新規格の軽自動車が出ても、推計方法は変っていない。

 ウ)政府最終消費支出

  • 政府消費については、政府の生産する財・サービスのほとんどが市場価格を有していないため、構成項目(雇用者所得、間接税等)を各々推計し、それを積み上げ、商品・非商品販売を控除し、算出するという形を採っている。その大半を占める雇用者所得は公務員数×1人当り人件費で推計している。公務員数については、トレンドで推計しているものもある。商品・非商品販売は殆どが家計にまわるものであり、国公立病院の受診料や国公立学校の授業料といったものがある。間接税は年度値を4分割している。
  • 93SNAになると、現在計上されていない道路等の社会資本に関する資本減耗が新たに計上されることになり、政府消費全体が大きくなる。95年の名目では、約10兆円の資本減耗増と見ている。

 エ)総固定資本形成

  • 民間住宅については、「建築着工統計」の着工額を用い出来高ベースに転換している。この計数から、別途推計する公的分を除き、民間住宅投資を算出する。平均工期は3~9ヶ月で完成すると見ている。なお、居住産業併用建築物については、7割分を居住用と見ている。昨年度後半は、経済対策等の影響により公的住宅の部分がかなり伸びても、民間住宅には含まれない。
  • 民間企業設備については、非金融法人企業、金融法人企業、個人企業それぞれについて各種統計を用いて推計するが、シェアとしては非金融法人企業が主であり「法人企業統計季報」に拠るところが大きい。
  • 公的固定資本形成については、まず、年度予算現額を推計し、当該年度の予算が、補正予算などを含めてどれくらいか、を四半期毎に把握する。地方分については「地方公共団体消費状況等調査」を用いる。次に翌年度への繰越見込額を推計し、年度決算見込額へ転換する。これを四半期分割して最終的に計数を算出する。

 オ)在庫品増加

  • 民間在庫品増加については、原則として「法人企業統計季報」を使用する。これは、簿価ベースのものなので、SNAの時価ベースにするために在庫品評価調整を行う。

 カ)財貨・サービスの輸出入

  • 財貨・サービスの輸出・輸入の推計については、主として、国際収支表を用い、建設や特許等を組み替えて推計する。実質化する際には、各種物価指数を基に、商品群別にデフレーターを作成する。

 キ)

  • QEの計数表については、名目・原系列(第1表)が作成され、これを実質化する(第3表)。デフレーターはインプリシット・デフレーターであり、例えば消費については43目的別に、輸出入については8から10の商品群別に各種物価指数からデフレーターを作成し、実質化している。これらの計数を原則、需要項目毎に予定季節指数を積み上げ、季節調整系列が得られる(第2・4表)。

 ク)

  • 暫定値については、1次速報値との開差が過去3年で0.7%程度と大きく、開差に対する寄与度では、総固定資本形成が大きく出ている。その原因は、法人企業統計季報が使用できず出荷指数を用いていること、公共工事の出来高の2ヶ月分しか利用できないことなどから公的固定資本形成に影響していることが挙げられる。7-9月期については、季節調整替えが行われる関係で、開差が特に大きくなる。6月10日に1次QEと併せて公表した99年1-3月期の暫定値についても、実質前期比が1次QEのプラス1.9%に対し、0.7%と大きな開差が出ている。暫定値は1年くらい試行期間を置いて様子を見、この間は1次QEと併せて公表していく。

以下は質疑応答の概要。

 【Q】

  • 家計調査という基礎統計からどのように民間最終消費支出の計数が作成されているのか。世帯数の推計方法、医療費の推計について教えてほしい。
  • 公的固定資本形成は、98年10-12月期と99年1-3月期と前期比10%を超す異例の高さとなっている。既存の出来高統計の動きとは違う。
  • 純輸出について、サービス関係のデフレーターをどのように推計しているのか。

 【A】

  • 資料「民間最終消費支出の動向について」をもとに、家計調査と民間最終消費支出の推計結果の相違について説明
  • 世帯数は、農家、非農家、単身者世帯ごとに、農業センサス、労働力調査等を用いて推計。四半期値がない場合にはトレンドを使用。全体としてはここ最近は1%程度の安定した推移となっている。世帯数の伸びと帰属家賃が、家計調査と民間最終消費支出の伸びの乖離(名目前年同期比2.1%程度)の約半分(同1.1%程度)を説明している。
  • 医療費については1次速報段階では「基金統計月報」の2ヵ月分の計数を使用している。
  • 公的固定資本形成については、1次速報段階では、ヒアリング、「地方公共団体消費状況等調査」をもとに、四半期毎の年度決算見込み額を把握し、それを四半期分割するという方法を採っている。このため、99年1-3月期については、確かに出来高統計の動きとは乖離している。
  • 純輸出の実質化については、民間のユーザーは通常、デフレーターに輸出入価格指数を使用すると思われるが、当方では、財については輸出入物価指数、サービスについては日銀のCSPI及び単価指数等を利用している。さらに、当方は、輸出、輸入それぞれ商品別にデフレーターを作成しており、これを当期の名目値でウェート付けしている。

 【Q】

  • 公的固定資本形成について、2次QEの段階で進捗状況を見て、リバイスするようなことはないのか。

 【A】

  • 基本的には、1次QEの名目値をそのまま2次QEとするというルールでやっている。

 【Q】

  • 家計の目的別最終消費支出の構成について、QEでも公表できないか。

 【A】

  • 一次統計(「家計調査」等)のブレが大きいこともあって、QE段階では公表していないが、年報では四半期値も公表している。
  • また、個人消費の形態別動向(耐久材・半耐久財・非耐久財・サービス)については、3ヵ月程度遅れて公表している。

 【Q】

  • 内部資料として使用した統計(「地方公共団体消費状況等調査」、平均工期)を公表できないか。

 【A】

  • 「地方公共団体消費状況等調査」は、非公表を前提に各地方公共団体に協力を依頼しているものであり、公表は困難。
  • 平均工期は、用途別・構造別に3~9ヶ月に設定しており、各期での変更はしていない。

 【Q】

  • 雇用者所得は他の統計と動きが異なるように思えるが、どのような推計方法なのか。

 【A】

  • 雇用者所得のうち、賃金・俸給は、「毎月勤労統計調査」より推計している。
  • 雇用者所得には、賃金・俸給以外に、社会保障雇主負担、その他の雇主負担が含まれている。
  • 1-3月期のプラス要因としては、季節調整を行ってボーナスの影響を調整しているが、前年10-12月期においてそれ以上にボーナスが減少したことによる、いわば反動増といった動きが考えられる。

(3)土肥原国民経済計算部長より、資料に基づき、93SNA移行の趣旨、主な改訂内容等について、資料「我が国国民経済計算の93SNAへの移行について」に基づき説明。

  • 国連において20数年ぶりにSNA体系が改訂され、加盟各国に勧告された。我が国では国民経済計算調査会議において数年かけて93SNA移行について検討。
  • 平成7年基準改訂とあわせ、来年10月を目途に移行を図る。推計期間は原則として平成2~10年度とする。遡及推計は別途行う。主要系列表1については、昭和55年以降を暫定推計する。QEについては、2000年12月に出る7-9月期分から93SNA体系に変る。
  • 来年の93SNA移行・基準改訂前後のQEの形式については、まず、来年10月公表予定の4-6月期QEについては、現行体系(68SNA/平成2年基準)のままである。次に10月の基準改訂時には、99年1-3月期の四半期値までが新たな93SNA/平成7年基準となる。最後に、12月公表予定の7-9月期QEにおいて、直近の計数まで93SNA/平成7年基準として公表される。
  • 改訂の全体的特徴としては、①無形固定資産等の新たな概念の導入、②制度単位等の定義・区分の見直し、③資金循環統計等他の統計との整合がある。
  • 勘定構造の改訂としては、所得支出勘定を段階的に細分化することにより、様々な所得のやり取りが明確化される。また、調整勘定を細分化することによりキャピタルゲイン・ロスが明確になる。
  • 消費概念を最終消費支出と現実最終消費に2元化する。これにより、現在、帰属的に家計の最終消費としている医療費の社会保険からの給付分等が、実際支出している政府の最終消費支出となる。
  • 受注型ソフトウェア等はこれまで中間消費とされていたが、これを無形固定資産として、固定資本形成に計上する。受注型ソフトウェアは95年名目で3兆円強。
  • 一般政府の所有する社会資本について、その耐用年数を有限であるとして、固定資本減耗を計上する。この部分は政府最終消費支出としてGDPに上乗せされる。

  特段質疑応答はなかった。

(以上)

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