ESRI Discussion Paper No.386 テレワークが就業者の働き方やウェルビーイングに与える効果:日本におけるエビデンス

2024年3月
高橋 真也
元内閣府経済社会総合研究所特別研究員
太田 瑛介
内閣府経済社会総合研究所特別研究員
矢ヶ崎 将之
内閣府経済社会総合研究所研究官

要旨

 本研究では、日本の就業者パネルデータを用いて、職場で仕事をおこなっている就業者がテレワークを行うことによりもたらされる働き方、ウェルビーイングへの影響について、テレワークの内生性バイアスに対処し、より精確な因果効果を示すことを試みた。具体的には、テレワークに関する企業内の制度変更(制度導入)を操作変数として用いて、時間当たり賃金や労働時間、幸福度、健康状態といった働き方やウェルビーイングに関連する結果変数に関してテレワークの因果効果の推定を行った。その結果、上方バイアスなどの内生性バイアスの存在が確認されるとともに、労働時間の減少、幸福度や仕事の満足度の向上効果が示された一方で、統計的な有意性はないもののメンタルヘルスに関連する心身症状や仕事と生活との両立ストレスについてはネガティブな効果が示された。また、異なる属性集団のサブサンプルでの効果推定を行ったところ、特に正規雇用者や20代~30代では労働時間の減少や幸福度などの向上効果が示された一方で、非正規雇用者や子育て中の就業者、40代~50代では心身症状の悪化などの負の効果も示された。このことから、異なる属性集団における効果の異質性も明らかとなった。


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全文の構成

  1. 1 はじめに
    3ページ
  2. 2 データと手法
    5ページ
  3. 3 推計結果
    15ページ
  4. 4 考察及び今後の研究課題
    29ページ
  5. 参考文献
    30ページ