ESRI Discussion Paper No.402 親のジェンダー選好が子の教育投資に与える影響

2025年6月
髙橋　淳
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科博士後期課程
中園　善行
内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科教授

要旨

本論文は、子どもの出生前の性別に関する親の希望が、その後の子どもの教育投資に与える影響を分析した。分析の結果、第一に、親は親自身の性別と一致した性別を好む傾向があること、具体的には母親は娘を、父親は息子を好むことが分かった。第二に、出生前の性別への希望は、実際の子どもの性別よりも教育投資への影響が大きいことが分かった。息子を希望した親は実際の子どもの性別に関わらず教育費を多く費やす一方、娘を希望した親は教育投資を抑える傾向が見られた。最後に、男女間の教育投資格差が、娘を将来の介護者として期待している結果を反映している可能性が示唆された。具体的には、母親が自身の両親への介護を行っている、または行う予定である場合、娘を希望する傾向が強くなり、これが娘を将来の介護者として期待することで教育投資を抑制する要因となっている可能性が示唆された。性別に基づく教育投資格差は、将来の介護への期待と結びついている可能性がある。

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全文の構成

  1. 1 Introduction
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  2. 2 Data
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    1. 2.1 Japanese National Fertility Survey (JNFS)
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    2. 2.2 Japanese Panel Surveys of Consumers (JPSC)
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  3. 3 Parental Preference for Same-Gender Children
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  4. 4 Gender Differences in Parental Educational Aspirations and Investment
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    1. 4.1 Do Parents Have Different Educational Aspirations for their Children Based on Gender?
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    2. 4.2 The Impact of Parents' Initial Gender Preference on Child Investment
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      1. 4.2.1 The Impact on Educational Investment
        Page 11
      2. 4.2.2 The Impact on School Choice
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    3. 5 Parental Demand for Daughters and Caregiving Expectations
      Page 14
    4. 6 Conclusion
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    5. Appendix: Tables
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