「消費動向調査(試験調査)」調査結果の概要

平成25年5月15日
内閣府 経済社会総合研究所

「消費動向調査」については、平成24年度まで訪問留置法で実施してきたところ、25年度から郵送調査法に切り替えた。これに先立ち、調査方法変更が調査結果に与える影響を事前に把握し、標本設計等の基礎資料とすることを目的として、平成24年7月から25年3月までの間、郵送調査法による「消費動向調査(試験調査)」を実施した。その実施状況、調査結果等については以下のとおりである。

調査の実施状況

  1. 調査の対象
    母集団は、全国の世帯のうち、外国人・学生・施設等入居世帯を除く約5,061万世帯。(従来の訪問留置法による「消費動向調査」(以下、「訪問調査」)と同様)
  2. 調査客体数
    2,040世帯(一般世帯(二人以上世帯)1,428世帯、単身世帯612世帯)。
    (訪問調査では6,720世帯(一般世帯4,707世帯、単身世帯2,016世帯))
  3. 抽出方法
    一般世帯、単身世帯それぞれについて三段抽出(市町村-調査単位区-世帯)。(訪問調査と同様)
  4. 調査の時期及び調査時点
    毎月1回、調査時点は毎月15日とした。(訪問調査と同様)
  5. 調査の方法
    郵送調査法(調査票を調査世帯に配布・郵送し、世帯が自計記入し、郵送にて提出)により実施した(訪問調査と同様、民間事業者に委託)。ただし、1か月目の調査では、調査開始月の上旬までに調査員が調査世帯を訪問して調査依頼・調査票配布を行い(ただし、回収については郵送)、2か月目以降は上旬に調査票を郵送、投函締切を調査月の16日とし、20日頃までに調査世帯から郵送にて回収した。なお、調査月中旬には、期日通知ハガキを調査票未回収の世帯に対して郵送した。
  6. 調査事項
  • 消費者の意識(今後の暮らし向きの見通しなど、毎月)
  • 物価の見通し(毎月)
  • 自己啓発、趣味・レジャー・サービス等の支出予定(9、12及び3月)
  • 主要耐久消費財等の保有・買替え状況(3月)
  • 世帯の状況(毎月)

(訪問調査からの変更点)
試験調査では、「世帯の状況」のうち「仕事を探している人の有無」「仕事を探している人数」を新たに調査事項に加えた。また、訪問調査で調査事項としていた「「消費者の意識」のうち「レジャー時間」」「旅行の実績及び予定」は、記入者負担軽減の観点から、試験調査の調査事項から除いた。

各月の回答状況

各月の有効回答率(調査票の回収期限は調査月の20日頃)は、平成24年7月~25年3月の9ヶ月間の平均で76.2%となった(図表1参照。同時期の訪問調査の平均有効回答率は74.9%)。
(注)10月に有効回答率が上昇しているが、当該月が調査世帯へ謝礼品を郵送する月であったことも影響したとみられる。また、有効回答率が高かったため、調査を継続できなくなった世帯に対する代替世帯の選定は行っていない。

図表1 各月の有効回答数、有効回答率

図表1 各月の有効回答数、有効回答率(試験調査(各月20日までの回収分)、試験調査(回収期限延長の場合)、訪問調査)

試験調査 世帯別有効回答率の推移(各月20日までの回収分)

試験調査と訪問調査の結果比較

試験調査の結果を同時期(平成24年7月~25年3月)の訪問調査の結果と比較すると以下のとおりである。

(1) 消費者態度指数

  • 消費者態度指数(原数値)を比較すると、一般世帯、単身世帯ともに、調査期間の全てを通じて試験調査結果の方が訪問調査結果よりも低い水準となった(水準差は、一般世帯では平均2.4ポイント、単身世帯では平均4.2ポイント。図表2-1、2-2参照)。
  • 消費者態度指数の変化方向(前月差)については、前月差が比較できる平成24年8月~25年3月の8ヶ月間のうち、両調査で方向が異なる月が、調査客体数の少ない単身世帯では4回みられたが、一般世帯では2回であった。

図表2-1 試験調査と訪問調査の比較
(消費者態度指数及び消費者意識指標、一般世帯、原数値)

図表2-1 試験調査と訪問調査の比較表(消費者態度指数及び消費者意識指標、一般世帯、原数値)

図表2-1 試験調査と訪問調査の比較グラフ(消費者態度指数及び消費者意識指標、一般世帯、原数値)

図表2-2 試験調査と訪問調査の比較
(消費者態度指数及び消費者意識指標、単身世帯、原数値)

図表2-2 試験調査と訪問調査の比較表(消費者態度指数及び消費者意識指標、単身世帯、原数値)

図表2-2 試験調査と訪問調査の比較グラフ(消費者態度指数及び消費者意識指標、単身世帯、原数値)

(2) 物価の見通し

  • 物価の見通しを比較すると、一般世帯、単身世帯ともに、「低下する」の構成比はほぼ同水準ながら、「上昇する」の構成比は、試験調査の方がやや高い結果となった(図表2-3、2-4参照)。また、「変わらない」「分からない」の構成比率は、一般世帯、単身世帯ともに、試験調査の方が低い結果となった。
  • 各回答区分の構成比を用いて算出した予想物価変動率の推移をみると、一般世帯、単身世帯ともに、試験調査の方がおおむね水準が高い。変化方向(前月差)については、一般世帯、単身世帯ともに調査開始当初は異なる動きもみられたが、平成24年11月以降は同方向の動きとなっている。

(注)予想物価変動率は、回答区分ごとに構成比(「分からない」を除く)に中点(「2%以上~5%未満」ならば「3.5%」)を乗じ、合計した値。(上限、下限のない回答区分は上限値、下限値を用いている(「5%以上」ならば「5%」)。)

図表2-3 試験調査と訪問調査の比較
(物価の見通し、一般世帯、原数値)

図表2-3 試験調査と訪問調査の比較表(物価の見通し、一般世帯、原数値)

図表2-3 試験調査と訪問調査との比較グラフ(物価の見通し(回答区分別構成比)と予想物価変動率、一般世帯、原数値)

図表2-4 試験調査と訪問調査の比較
(物価の見通し、単身世帯、原数値)

図表2-4 試験調査と訪問調査の比較表(物価の見通し、単身世帯、原数値)

図表2-4 試験調査と訪問調査との比較グラフ(物価の見通し(回答区分別構成比)と予想物価変動率、単身世帯、原数値)

(3) サービス支出予定DI

  • 試験調査と訪問調査におけるサービス支出DI(一般世帯・原数値)を比較すると、6つの調査項目いずれも試験調査の方が低い結果となった(図表2-5参照)。回答区分の構成比を比較すると、試験調査の方が、「支出予定なし」の構成比が低く、「やや減らす」「減らす」の構成比が高い結果となった。

(注)サービス支出DI=(「増やす」+「やや増やす」)-(「減らす」+「やや減らす」)

図表2-5 試験調査と訪問調査の比較
(サービス支出DI:一般世帯(原数値))

図表2-5 試験調査と訪問調査の比較表(サービス支出の回答区分別回答割合及びDI:一般世帯(原数値))

(4) 主要耐久消費財等の保有状況

  • 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財等の普及率(一般世帯・原数値)を比較すると、品目によって2~3%ポイント程度のかい離幅はあるものの、大きな水準差はみられない(図表2-6参照)。
  • また、主要耐久消費財の保有数量(一般世帯・原数値)を比較すると、品目によって5~6台程度(100世帯あたり保有数量)のかい離幅はあるものの、大きな水準差はみられない(図表2-7参照)。
  • 主要耐久消費財の買替え状況(一般世帯・原数値)を比較すると、「携帯電話」以外の品目では試験調査の方が平均使用年数が短いという結果となった(図表2-8参照)。

(注)平成24年度中に買替えをした世帯における、買替え前に使用していたものの平均使用年数及び買替え理由。

図表2-6 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財等の普及率(一般世帯・原数値)

図表2-6 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財等の普及率の比較表(一般世帯・原数値)

図表2-7 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財等の保有数量(一般世帯・原数値)

図表2-7 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財等の保有数量の比較表(一般世帯・原数値)

図表2-8 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財の買替え状況(一般世帯・原数値)

図表2-8 試験調査と訪問調査における主要耐久消費財の買替え状況の比較表(一般世帯・原数値)

【参考】

1. 試験調査における回収期限後の回収状況

  • 郵送調査の場合、回収期限(調査月の20日頃)を過ぎて到着するケースが想定される。このため、試験調査において、(ア)回収期限後に到着する件数、(イ)回収期限内に到着した調査票による集計値と、期限後の到着調査票を含めた集計値の違いを確認し、郵送調査化の際は回収期限を延長する必要があるか等を検討した。
  • (ア)については、回収期限を各月下旬に延長すれば有効回答率は8割を超えるが、回収期限時点においても7割を超える有効回答率を得ることが確認できた(図表1参照)。
  • また、(イ)について、回収期限別の集計値を消費者態度指数(一般世帯)で比較すると、両者の値には大きな差異は見られない(参考図表1参照)。
  • 回収期限の延長は、(ア)回答日が調査基準日(毎月15日)からかい離する、(イ)公表日の遅れにつながる懸念があることから、上記の検討を踏まえ、従来通り、回収期限は調査月の20日頃とすることとした。

参考図表1 回収期限別の集計値比較(一般世帯)

参考図表1 各月20日までの回収分と回収期限延長の場合との集計値比較表(一般世帯、消費者態度指数及び消費者意識指標)

2. 試験調査における不完全回答の状況

  • 訪問調査では、調査員が調査票を訪問回収する際に記入内容の確認が可能だが、郵送調査の場合、不完全回答のまま返送されるケースが増えると考えられる。
  • 試験調査結果から、調査項目別の回答状況をみると参考図表2の通りであり、記入漏れ、重複回答などの記入誤りがみられたものの、どの調査項目においても9割以上の記入率を保つことができた。

(注)試験調査結果を踏まえ、平成25年4月以降の郵送調査では、「調査票」のレイアウトの変更、「記入の仕方」の修正を行うことで対応。

参考図表2 調査項目別 回答状況

参考図表2 調査項目(消費者の意識、物価の見通し、サービス支出予定)別回答状況(一般世帯及び単身世帯)

本件についての問い合わせ先

内閣府 経済社会総合研究所 景気統計部
電話03-6257-1628(ダイヤルイン)